ファンとの「壁をなくしたい」 名古屋DF丸山が“オンラインサロン”開設に込める思い
自身の32歳の誕生日にオンラインサロン「OFF THE PITCH」を開設
名古屋グランパスの丸山祐市が、2012年のプロ入りからちょうど10年の節目に、オンラインサロンを開設した。かねてからファンとの交流を大事にしてきた丸山は、このサロンを「学びの場」とも捉えている。キャプテンとしてチームを牽引してきたなか、ピッチ外における新たな取り組みに寄せる思いを訊いた。(取材・文=今井雄一朗)
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「これはプロになってから、ずっとやりたいと思っていたことなんです」。現在は右膝前十字靭帯部分損傷、および内側側副靭帯損傷の治療で長期戦線離脱をしている名古屋の丸山が、自身の32歳の誕生日から新たな試みを始めている。
普段からサポーター、名古屋で言うところの“ファミリー”との交流を重要視してきた男は、昨今のコロナ禍においてそうした機会が激減したこともあり、かねてから温めていたオンラインサロンというアイデアを実行に移した。サロン名はストレートに「OFF THE PITCH」。そこにはサッカー選手・丸山という枠にとらわれない、人と人とのつながりを求める彼の願いが込められているようだ。
通常、オンラインサロンというと主催者が参加者に対し、何かを提示し時には“与える”スタイルが一般的だ。集まる人々は学びや気づき、何かを得ようとサロンにやってくる。だが丸山の考えるオンラインサロンの在り方は、もっと気軽でもっとオープンな気質を伴う。
「僕とサロンメンバーの間に“選手とファン”という区切りがあるのは仕方ないけど、なるべくその壁をなくしたい。“友達”とまではいかなくても、そのギリギリまで攻めて、もっと親密な関係になっていければ良いと思っているんです」。
だから丸山の目線は自ずと下がる。
「ファンのために、なんて偉そうなことではなく、シンプルに喜んでもらえて、僕は何か学びをそこから得られたら、という想いなんです」
オンラインサロンは月額1100円とリーズナブルな価格設定。普段はFacebookのメンバー限定グループに丸山自身が様々な投稿を行ない、1カ月に1回メンバーとのオンラインミーティングが開催される予定だ。他にもプレゼント企画や共同プロジェクト、オフ会なども行われる予定で、開始月の6月にはさっそく第1回のオンラインミーティングが行われている。
「シンプルに楽しかったです」と笑う丸山だが、サッカーとは違う悩みもそこでは発覚した。チームではキャプテンとして人前に立つ機会も少なくないが、話す仕事はサッカーのようには上手くいかないらしい。
今井雄一朗
いまい・ゆういちろう/1979年生まれ。雑誌社勤務ののち、2015年よりフリーランスに。Jリーグの名古屋グランパスや愛知を中心とした東海地方のサッカー取材をライフワークとする。現在はタグマ!にて『赤鯱新報』(名古屋グランパス応援メディア)を運営し、”現場発”の情報を元にしたコンテンツを届けている。