日本の守備陣は「別格の活躍」 英国人記者がスペイン戦を称賛「勇敢で誠実だった」

吉田麻也を中心に守備陣が奮闘するも惜敗となった【写真:Getty Images】
吉田麻也を中心に守備陣が奮闘するも惜敗となった【写真:Getty Images】

スペインと120分の死闘、勝負を分けた僅かな差と偉大な選手の存在

 U-24日本代表は3日、東京五輪サッカー男子の準決勝でスペインと対戦した。金メダル候補相手にボールを保持される展開となったが、粘り強い守備で奮闘。前後半の90分間をスコアレスで終えたが、延長後半10分に途中出場したFWマルコ・アセンシオに決勝ゴールを決められて0-1で敗れ、史上初の決勝進出は果たせなかった。
 
 優勝候補を相手にした120分の死闘を、海外の識者はどのように見たのか。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、守備陣の奮闘を高く評価。金メダル獲得の望みが潰えて3位決定戦は「難しい仕事」となるが、再び奮い立つ時だとメキシコ戦での勝利と銅メダル獲得を求めた。

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 疲労による消耗は選手の心も砕くのだろうか。少なくとも埼玉スタジアムではそうだった。疲弊しきった2つのチームによる準決勝はマルコ・アセンシオの一撃が生まれるまで、クオリティーに欠け、ドラマのない試合となった。

 日本サッカー界の中心を横切るこの亀裂は、レアル・マドリードの男が谷晃生を打ち破ってネットを揺らした精巧なフィニッシュの道のりを辿ることは間違いない。

 ゲームオーバーだ。だが、日本の東京五輪はまだ終わっていない。黄金の望みは消えたが、森保一監督はなんとかして埼玉の芝から選手たちをすくい上げ、金曜日のメキシコ戦に向けてもう一度準備しなければならない。疲れた手足、疲弊したメンタル、壊れてしまった心のすべてを修復するのは難しいだろう。

 しかし、今大会の日本のパフォーマンスは勇敢で、誠実なものだった。違う結果になっていてもおかしくなかった。PK戦になるべきだったかもしれない。コロナがなかった時のように、満員の観客が声援を送れていれば、日本が望んだ結果になっていたかもしれない。だが、途中出場でピッチに立ったアセンシオのクオリティーは、このような試合では僅かな差と偉大な選手の存在が勝負を分けるということを物語っていた。

 日本代表が落胆することはない。谷から林大地、そしてベンチ入りした選手全員が永遠の命を手に入れるために意欲的に取り組んでいた。

 ディフェンスは常にチームの鍵だった。吉田麻也と板倉滉のパフォーマンスは特に際立っていた。吉田はオリンピックの表彰台に立ちたくてたまらないはずだ。彼はメダルを逃す苦しみを誰よりも知っている。彼は再び3位決定戦に臨むことになった。

 スペイン戦で吉田はキャプテンらしいパフォーマンスを見せ、その隣で板倉も別格の活躍だった。彼の決死のブロックからは、スペインにゴールを許さないという決意が伝わってきた。

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マイケル・チャーチ

アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。

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