“神の子”トーレスが泣いた… 「人生をかけた」CL決勝でPK奪取も、復活劇のラストを栄冠で飾れず

チェルシーでのCL優勝は「嬉しくなかった」

 昨季前半戦ミランでプレーしたトーレスは、サン・シーロのピッチに座り込んで涙を流した。サウール、コケという後輩の心の傷を癒すために抱擁したが、その端正な表情は誰よりも悲しみと絶望を湛えていた。

 トーレスはチェルシー在籍2年目の2011-12シーズンに一度CL制覇を経験しているが、当時はキャリア最悪の不振の真っ只中にあった。本人も「僕はチェルシーでCLを勝ち取った。しかし、決して居心地は良くなかった、嬉しくなかったんだ。僕はあの頃、恵まれた環境にあるとは感じていなかった。何かを、失った気分だった」と述懐している。

 それだけに同じマドリードを本拠地とする宿敵にPK戦の末に敗れた悲劇的な結末を、トーレスは受け入れることができなかった。

 それでも今季トーレスは闘将ディエゴ・シメオネ監督の下で完全復活を果たし、リーグ戦11ゴールを挙げた。またCL準々決勝バルセロナとの第1戦では2枚の警告を受けて退場してしまったものの、貴重なアウェーゴールを挙げて“バルサキラー”ぶりも発揮した。32歳となった「神の子」は実力健在を示したが、復活劇のエンディングはハッピーエンドとはならなかった。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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