五輪代表で「プレースタイルを変えた」 名ボランチが語る“転機”…福西崇史×山口蛍対談【後編】
成長のための五輪から結果を出すための五輪へ、現代表は「完成している選手が多い」
――今、五輪の話も出ましたが、もうすぐ東京五輪も開幕します。先輩オリンピアンとして、何か今のチームにアドバイスなどはありませんか?
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山口 アドバイスはないですね。僕たちが出たロンドンの時と今の代表チームでは、戦い方を含めて全然違います。それこそあの時は、全員が走って戦うようなサッカーで、一体感を持って全員で勝っていたようなチームだったので。今の代表はやっぱり個で打開できる選手がたくさんいるので、当時とは全然違うのでアドバイスはありません。オーバーエイジを含めて、すごく良いメンバーが揃っているので「やってくれそうだな」という期待しかないですね。
――今の五輪代表選手のなかにも、山口選手のように所属チームと違うプレーが求められて、新たなプレースタイルを見つける選手も出てくるかもしれませんね。
山口 どうですかね。今のU-24日本代表の選手たちは、所属クラブで試合に出ているじゃないですか? 僕らの世代はオリンピックの前の年まで、あまり所属クラブで試合に出ている選手がいなかったんです。僕は本当に試合にあまり出ていなくて、オリンピックイヤーの年のJリーグから試合に出始めたので、今のU-24の選手は海外でやっている選手も多く、経験もたくさん積んでいる選手が多いので、もう完成しきっている選手が多いのかなとは思います。
福西 それは思いますね。以前は成長のためのオリンピックでしたが、今はもう結果を出すためのオリンピックチームみたいな感覚ですよね。だから、世界に近づいた感じはしますし、自国開催ですからメダルを期待したいですね。
今日は貴重な話をありがとうございました。後半戦も山口選手には、今のプレーを続けて、背中でチームを引っ張っていってほしいですね。実績を含めて、それができる選手だと思っています。あとは、もっと前面に出てきていいかなと思います。今のプレーをやりながらも、黒子に徹するのではなく、「これはこういう意図があってやったんだ!」というのを示して、影の支配者的になってほしいなと思います。
山口 なかなか難しいですが、頑張ります(笑)。チームとしては今、神戸は3位でAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場圏内にいるので、この順位をキープして、シーズンが終わる時にACL出場権を獲得できたらいいなと思っています。やっぱり昨年のACLはすごく楽しかったですし、ACLがもたらすチームへの影響も大きいと思うので、また来年その舞台に立ちたいと思うので、チームとして一つの目標を持って戦っていきたいと思います。
福西 分かりました。本日はどうもありがとうございました。
山口 ありがとうございました。
[プロフィール]
福西崇史/1976年9月1日生まれ、愛媛県出身。95年にFWとしてジュビロ磐田に加入すると、プロ入り後にボランチへコンバートされ黄金時代を迎えたチームの中盤を支えた。J1通算349試合62得点の成績を残し、Jリーグベストイレブンも4度受賞。日本代表としても国際Aマッチ64試合7得点を記録し、2002年日韓大会、06年ドイツ大会とワールドカップに2度出場した。04年アジアカップでは優勝を経験している。