日本の「電撃的な攻撃」称賛も…英記者が“緩み”に警鐘 「安心している場合ではない」
試合をコントロールしていたはずの日本が徐々に緩み、メキシコの脅威が増す
先制点から数分後、主審のアルトゥール・ソアレス・ディアスがイヤホンに手を当て、ピッチサイドのモニターに向かった時、林大地は安堵のため息をついていた。メキシコDFセサル・モンテスのタックルが相馬の足首を捉えるコンマ何秒か前に送られた低いクロス。これに合わせようとした林のシュートは空を切った。もしもVARのレビューが行われず、PKになっていなければ、このプレーは前半の恥ずかしいワンプレーとなっていただろう。
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堂安のPKは自信に満ち溢れ、最終的には試合を決めるゴールになった。日本は改善され、成功を収めたが、まだ南アフリカ戦と似た部分もいくつかあった。
吉田が懸念していた南アフリカ戦でのスロースタートについては払拭されていたが、キャプテンは新たな問題を抱えてスタジアムを後にしたことだろう。
なぜなら、日本は試合をコントロールしていたはずなのに、徐々に緩みを見せてしまったからだ。メキシコDFヨハン・バスケスが退場した後半23分あたりまで、メキシコは明らかに何もできていなかった。森保ジャパンの選手たちは、もう仕事は終わったと考えていたように見えたが、メキシコには別のアイデアがあった。
失うものがなくなったメキシコは、前線により多くの人数を懸ける準備をしていた。10人になり、すでに2点差で負けているなかで、さらに1点か2点を奪われたところで何が変わるというのか。
日本はスイッチをオフにし始めていて、集中力が低下していた。それによってメキシコの脅威は増していった。残り時間4分で、それまであまり出番のなかったGK谷晃生がFWロベルト・アルバラドにゴールを献上して点差を縮められると、森保ジャパンはバケツに入った冷たい水を顔にかけられたような気分になった。
これは谷にとって、強烈なウェイクアップコール(警鐘)になったが、これは必要なことだった。谷がゴールライン上で再び眠ってしまうようなことになれば、彼は日本のヴィラン(悪役)になってしまうところだっただろう。失点の後、アディショナルタイムにはDFブラディミル・ロローニャのヘディングシュートをセーブし、谷は自身の名誉を挽回した。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。