「傑出していた」久保の輝き、英記者が“日本の生命線”と確信 「疑問が残る」点とは?
東京五輪初戦の南アフリカ戦に1-0で勝利、久保は決勝点の前から“違い”を作っていた
U-24日本代表は22日、東京五輪グループリーグ初戦で南アフリカと対戦し、1-0と勝利した。序盤から主導権を握った日本はなかなか得点を奪えなかったが、後半26分にMF久保建英(レアル・マドリード)の鮮やかなゴールが決まり白星スタートを飾った。53年ぶりの五輪メダル獲得へ向けて、重要な初戦に勝利した日本の戦いぶりを海外の識者はどのように見たのか。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、久保が傑出したパフォーマンスを見せ重要な選手であることを改めて示したと称える一方、1トップ候補の3人に不安を残していると指摘した。
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挫折してしまいそうなほどに緊張した夜、日本にとって決定的なオープニングを演出するとしたら、それは久保建英のほかにはいなかっただろう。このレアル・マドリードの選手は結果的に頑強な南アフリカを沈め、チームを緊張から解き放つ一撃を決める前から、日本代表の中で傑出したパフォーマーだった。
親善試合の結果を鵜呑みにするのは危険だが、特にアルゼンチンやスペインを相手にした日本の戦いぶりは、このチームがオリンピックに楽観的な希望を持つのに十分なものだった。しかし、木曜日夜の南アフリカ戦では、プレッシャーのない親善試合でのチームのパフォーマンスと、本大会でのパフォーマンスの違いが明らかになった。ポジティブな予想はすべて引き裂かれ、それらが風に流されてしまうような兆候が見られた。
日本は東京五輪に向けて印象的なチーム作りを進めてきたなかで、たとえ得点を量産していたとしても、トップクラスのセンターフォワードがいないという弱点が残っていた。大迫勇也(ブレーメン)が3人のオーバーエイジの1人として選ばれなかったのはサプライズだった。
南アフリカ戦でも、ゴール前で“キラー”としての本能を持った選手がいないことは明らかだった。幾度もチャンスを作り、14本ものシュートを放ったが、ゴールを決めることができたのは久保だけだった。
確かに南アフリカはフィジカルが強く、深い位置で人数をかけて守っていたが、決めるべきチャンスはあった。林大地は期待に応えられず、ベンチに座っていた前田大然と上田綺世もアップグレードという意味での選択肢にはならなかった。
そのため、必要なことは久保に任され、いつも通り彼の一つの輝きで試合に勝利した。久保のコントロール、冷静さ、その動きすべての実行力は、彼がこのチームのみならず、日本のサッカー界にとって重要な存在であることを強調している。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。