F・トーレスを再生させた情熱の指揮官シメオネ “たった一言”の真実とは

アトレチコ・ファンの本心と誤算

 加入3戦目で決めた電光石火の2ゴールに続き、バルセロナとの準々決勝セカンドレグでも、開始数十秒のうちに衝撃的な先制ゴールを決めるなど、アトレチコ・マドリードに戻ってきたトーレスは早くも大舞台での勝負強さを発揮している。だが正直、復帰直後からここまで大きな仕事をやってのけるとは思わなかった。何せ昨季加入したミランでは14年9月23日、第4節のエンポリ戦で移籍後初ゴールを決めて以降、ゴールどころかプレー機会すら得られない状況が続いていたのだ。

 多くのファンにとっても同様に、彼の活躍はうれしい誤算だったのではないか。ビセンテ・カルデロンでのプレゼンテーションには4万5000人超が集まり、背番号19のユニホームが2日間で2000枚以上も売れるなど、その絶大なる人気が衰えた様子は全くない。だがその傍らで、移籍交渉が大詰めを迎えた2014年末に地元紙が行ったアンケートでは「今のアトレチコにトーレスは不要」との回答が50%強に上っていた。

 11歳でアトレチコの下部組織に加入、17歳でトップチームデビューを果たし、史上最年少の19歳でキャプテンを任された愛すべきエルニーニョ(少年)。クラブが生んだ最高傑作の帰還を素直に喜んではいるものの、今のチームにとってどこまで戦力となるかは分からない。それが彼らの本心だったに違いない。

 

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