東京五輪「未招集ベスト11」 ムバッペら“来日できなかった”スター候補の顔ぶれは?
スペインは“本気度”の高いチームだがトーレスは招集できず
このなかで、やはり筆頭株はフランスのFWキリアン・ムバッペだろう。欧州選手権(EURO)では縦の突破などで抜群の存在感を見せながらも、まさかの無得点に終わり、最後はPK戦で失敗して敗退。若きエースとして期待が大きかった分、厳しい声が多い。フランスのクラブはスペインと違い、五輪に関して代表の招集に応じる義務がないので致し方ない部分もあるが、EUROのラウンド16で敗退したことを考えれば、東京五輪で名誉挽回してもらいたかった気持ちもある。
フランスはセンターバックのDFジュール・クンデもEUROに出ていたが、そのほかにもDFダヨ・ウパメカノ、MFフセム・アワール、MFマテオ・ゲンドゥージ、MFエドゥアルド・カマヴィンガとタレントが豊富だ。オーバーエイジでFWアンドレ=ピエール・ジニャックを招集した前線はともかくとして、中盤とディフェンスラインはもう少し頑張ってメンバーを揃えてほしかったというのが正直なところだ。
EUROのメンバーから6人が招集されたスペインだが、これは五輪でもリーガ・エスパニョーラの所属選手であれば代表チームに拘束力があるという特殊な事情も働いている。そうしたなかでマンチェスター・シティ所属のFWフェラン・トーレスは不参加となったが、もちろん出場していれば大活躍が望まれたヤングスターの1人だろう。
FW陣はそのほかにも、ブラジルのFWガブリエル・ジェズスとFWヴィニシウス・ジュニオール、コパ・アメリカ優勝メンバーでもあるアルゼンチンのFWラウタロ・マルティネスと豪華なスカッドのなかで、ファーストセットにはムバッペ、ラウタロ、フェラン・トーレスの3人を並べた。
中盤には大型のセカンドアタッカーとしてドイツの新鋭MFカイ・ハフェルツを配置し、アワール、MFエセキエル・パラシオス、MFフロリアン・ノイハウスという攻守にハードワークと局面の強さを発揮できる3人の選手で固めた。22人のリストにはほかにも実力者が並ぶなか、“残り1枠”をヤニス・ハジ(ルーマニア)かチョン・ウヨン(韓国)で迷ったが、ここではハジを選んだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。