東京五輪のメダル獲得は「信じるに値する」 英記者、日本の躍動に感銘「完璧に近い」
“金メダル候補”のスペインに1-1と善戦「完璧に近いパフォーマンス」
U-24日本代表は17日、ノエビアスタジアム神戸でU-24スペイン代表との国際親善試合に臨み1-1で引き分けた。東京五輪のグループリーグ初戦を5日後に控えたなか、“金メダル候補”を相手に堂々とした戦いを披露。1968年メキシコ五輪以来のメダル獲得を目指すホスト国を、海外記者はどのように見たのか。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、日本のパフォーマンスを「完璧に近い」と称賛。特に先制点のシーンは、本大会での躍進を予感させるものだったと記している。
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今の“誇大広告”を信じる以外にないだろう。森保一とこの感銘すべき若いチームを信じるしかない。日本が53年間の沈黙を破り、再び五輪のメダルを勝ち得ることができるのだ、と――。
スペインの心臓の動きを止めた、堂安律の無意識と悪意が交錯した一撃は、日本の持つハードワークと完璧な連動性、守備の規律、そして攻撃の技量が見事に噛み合って生まれたものである。強敵相手に、日本はほぼ完璧に近いパフォーマンスを見せてくれた。
1996年のアトランタ五輪でブラジルを撃破した、あの有名な“マイアミの奇跡”のような堅守の末の奇襲ではない。欧州屈指の若きタレントと渡り合い、ポゼッションにおいても互角だったパフォーマンスの末のゴールだったのだから、信じるに値する。
ダニ・セバージョス、ダニ・オルモ、パウ・トーレス、ウナイ・シモン、そして、マルコ・アセンシオ……。フットボールの世界の最も輝かしい舞台を彩るビッグネームが相手だった。バルセロナでシャビ・エルナンデスの後継者として中盤を仕切るペドリが、ベンチで大半の時間を過ごす以外、陣容に隙はなかった。
そして森保のチームは果敢に挑み、圧倒しようとした。圧巻のディフェンスは見事だった。遠藤航と板倉滉のコンビは素晴らしく、スペイン攻撃陣を窒息させるようだった。吉田麻也と冨安健洋の連係も盤石で、谷晃生が食い止めたスペインの“本物”のシュートは1本だけだった。
堂安と相馬勇紀も、酒井宏樹と旗手怜央の両サイドバックのサポートを受け、敵陣へ侵攻した。林大地もプレッシングで守備陣の助けとなり、ファウルを勝ち取ることで試合を止め、“無敵艦隊”からの圧力を緩和させた。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。