五輪で輝いた歴代「大物オーバーエイジ3選」 母国を牽引…悲願のメダル獲得に貢献
絶大だったネイマールの存在感、悲願の五輪金メダルで号泣
■ネイマール(2016年リオデジャネイロ五輪/ブラジル代表/FW)
W杯を5回制するなど、“サッカー王国”と呼ばれてきたブラジルが唯一獲得できていないメジャータイトルが五輪の金メダルだった。しかも舞台はリオということで、ブラジルサッカー連盟をあげて所属クラブの説得にあたり、オーバーエイジを含む強力なメンバーを招集。そのなかでも、同年のコパ・アメリカを欠場してまで五輪にこだわったネイマールの存在感は絶大だった。
1992年生まれのネイマールは20歳でロンドン五輪を経験していたが、惜しくも銀メダルに終わっており、自身2度目の五輪。しかも自国開催で史上初の金メダルを獲得すべく、キャプテンとしてチームを牽引し、攻撃はもちろん守備でも貢献を見せた。“ガビゴル”ことFWガブリエウ・バルボーザ、飛び級で選ばれていたFWガブリエル・ジェズスなど多彩なアタッカーを揃えていたが、やはりネイマールの存在感は別格だった。
ただし、グループリーグでブラジルは南アフリカ戦、イラク戦とスコアレスドローが続き、早くも不安の声が聞かれたなかで、欧州の強豪デンマークに4-0の勝利。なんとかグループ首位で準々決勝へ駒を進めた。しかし、ネイマールは直接ゴールに絡めず、エースの状態を不安視する声が少なからず上がるなかで、南米対決となった準々決勝のコロンビア戦で芸術的な直接FKを決めて2-0勝利の立役者となった。
準決勝のホンジュラス戦では開始1分のゴールと、後半アディショナルタイムのPKという両極端な2ゴールで6-0の勝利に貢献し、3得点に。そして金メダルをかけた決勝のドイツ戦でも、先制ゴールを決めたネイマール。結局ドイツが追いつく形で延長でも決着がつかず、PK戦となったが、相手5人目のFWニルス・ペーターゼンによるPKをGKウェーヴェルトンが止めると、最後はネイマールがしっかりと決めて悲願の金メダル。ネイマールは人目もはばからず号泣した。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。