「憎しみが勝つことはない」 人種差別被害のサンチョが心境を吐露「残念なことに…」
サンチョが公式SNSで人種差別被害の心境を綴る、EURO決勝は「キャリアで最悪の気分」
イングランド代表MFジェイドン・サンチョが、現地時間14日に自身の公式インスタグラムで長文のメッセージを投稿。自身のPK失敗もあって敗れた欧州選手権(EURO)決勝と、その試合後に起きた人種差別被害への思いを綴った。
イングランド代表は本拠地ウェンブリーでの決勝まで辿り着いたが、サンチョにとっては苦い思い出が残るEUROとなった。決勝のイタリア戦では1-1で迎えた延長後半終了間際にピッチに送り出されたが、4人目のキッカーとして登場したPK戦ではシュートを相手GKジャンルイジ・ドンナルンマに防がれた。その後、イングランド5人目のMFブカヨ・サカのキックもドンナルンマにセーブされ、イングランドはPKスコア2-3で敗戦。悲願のEURO初制覇は、あと一歩のところで叶わなかった。
サンチョはインスタグラムで「日曜日の決勝戦のことを振り返るのに2、3日かかりました。まだ様々な感情が入り混じっています」と受け入れ難い敗戦だったと振り返り、「チームメート、コーチングスタッフ、そして何よりも失望させたファンの皆さまに申し訳ありません」と謝罪した。この試合について「キャリアのなかで最悪の気分」と表現している。
イングランドは1966年の自国開催ワールドカップ優勝以降、メジャートーナメントを獲得していない。当然、サンチョにとっても代表での初タイトルが目前だっただけに、「トロフィーを持ち帰りたかったです」と無念の思いを明かしている。
そんなサンチョに対し、決勝戦の直後にはSNS上で心ない人種差別的発言が確認されている。英公共放送「BBC」によれば、同じくPKを失敗したFWマーカス・ラッシュフォードとサカを含めた3人に対する人種差別的投稿は何千件にも及び、すでに4人の逮捕者が出ているという。
これまでに何度も人種差別の被害にあってきたサンチョは、投稿のなかで「見て見ぬ振りをするつもりはないが、残念なことにこれは今に始まったことではない」と根深い問題であることを指摘。そのうえで「憎しみが勝つことはない。同じような被害を受けた若者たちは頭を高く上げて夢を持ち続けてほしい」と同じ境遇の若者へエールを送った。