「負ければ解散」 チーム消滅が決定したユース年代クラブ、“最後の戦い”での涙と感謝

選手たちはそれぞれの道へ進む【写真:Futsal X・河合 拓】
選手たちはそれぞれの道へ進む【写真:Futsal X・河合 拓】

選手たちはそれぞれの道へ「今大会の経験は今後の人生において大きなプラスになる」

 こうしてアニージョFC千葉の最初で最後のU-18フットサル選手権関東大会は、2敗という結果で終わった。試合後、ピッチ上に崩れ落ちるような選手は、いなかった。この時の心境について、植田は「ピッチ上では、みんな頭が真っ白で、実感がわいていなかったと思います。うなだれていた子もいましたが、茫然という感じでしたね」と言う。

 しかし、試合終了から1時間後、チーム最後のミーティングが行われた時、選手たちの堪えていたものが崩れていった。「まだみんなとボールを蹴りたかった」「本気で全国に行けると思っていた」「実感が湧かない」と、涙ながらに思いをぶつけあったという。「僕も、この時は、高校3年間で一番というくらい、泣きましたね」と、植田は力なく笑った。

 アニージョFC千葉は活動を終え、選手たちはそれぞれの道に進む。多くは進学先の大学のサークルでフットサルを続けるつもりだというが、この大会で引退する者もいるという。これから受験勉強に入るという守谷は、「アニージョ FC千葉の歴史はここで幕を閉じますが、今大会の経験は、今後の人生において大きなプラスになると思います。夢を見させてくれて、ありがとうございました」と話した。

 このクラブで過ごした時間について、植田は晴れやかに振り返った。「強豪サッカー部のように50人とか、100人規模のなかで切磋琢磨する選択肢もあったなかで、僕たちは15人くらいの小さい規模のクラブで時間を過ごしました。だからこそ、一人ひとりのつながりが強固になり、フットサル以外でも一緒に遊びに行ったりしました。仲間たちと親密でいられたからこそ、逆にこの先、これ以上の仲間ができるのか心配なくらいですね(笑)。それくらい良い仲間でした」と、すがすがしく笑った。

 アニージョFC千葉の歴史とともに、彼らの高校フットサル生活は終わった。それでも、最高の仲間と一つの目標に向かって戦い、笑って泣いた彼らの人生は続いていく。かけがえのない思い出とともに。

Futsal X

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