「負ければ解散」 チーム消滅が決定したユース年代クラブ、“最後の戦い”での涙と感謝
2連敗でグループリーグ敗退、忘れられない“ポジティブ”な二つのシーン
実際、初戦のロンドリーナ戦は接戦となった。前半6分にロンドリーナU-18 FP大熊翔人に先制点を許したものの、同11分には高い位置でFP早坂空高が相手のボールを突き、FP笹野俊へパスを出す。笹野はGKを引き付けてから、再び早坂にボールを戻すと、早坂がゴールに蹴りこみ、同点に追いついた。
さらに前半14分にもアニージョ千葉は、相手のキックインを笹野が回収。一度、自陣に戻したボールが、前線に送られると、これを受けたFP得津春輝が反転しながら左足でボレーシュートを放つ。低い弾道のシュートがサイドネットに決まり、アニージョ千葉が逆転した。しかし、「過去に2回勝っていたし、慢心が出てしまったのかもしれません」と植田が悔やむように、前半のうちに追いつかれたアニージョ千葉は、後半にも相手のパワープレーから決勝点を決められて、2-3で敗れてしまう。
「あの3失点目が一番悔しくて、心に残っていますね。ファーにパスを出される前に、僕が飛び込んでボールを抑えていれば、失点になりませんでした。あのボールをインターセプトできていたら、第2戦も、もっと落ち着いて戦えたと思います。先制されて、焦りが出てしまったので」(植田)
逆転でグループリーグを突破するためには、2点以上の差をつけてフウガドールすみだファルコンズに勝利することが必要だったアニージョFC千葉は、前半4分にFP田口大雅に先制点を許すと、その後も相手を抑えることができずに失点を重ねてしまう。終わってみれば、1-9という惨敗になった。
植田は、相手FP田口とのやり取りに「格の違いを感じた」と話す。「38番の選手は、ずば抜けていました。うちの守谷も、ピヴォを抑えるのは得意な選手だったんですが、全然、歯が立ちませんでした。試合中にも一回、僕と交錯したことがあったんですが、その時も『大丈夫か、すまん』と声をかけてくれて、『あ、人間性も素晴らしいんだな』と思わされました。なかなか試合中で相手に、そんな声、かけられないですよね? いろいろ歯が立たないところがありました」と苦笑した。
守谷は「チームとして、初めての関東大会出場だったのですが、全国を目標に練習を重ねてきていたので、悔いの残る結果です」と、振り返る。全国大会への扉を開くことはできなかったが、それでも守谷には、忘れられないポジティブな場面が二つあるという。
一つは、ロンドリーナ戦の逆転ゴールの場面。「あのゴールを決めた得津は、ずっと反転からのシュートを練習していたんです。でも、直前の練習まで上手くいっていませんでした。それが試合の本番でできたこと。さらには勝ち越しゴールだった点で、忘れられません」と振り返った。
そしてもう一つが、すみだファルコンズを相手に大量失点を喫しながらも、試合終盤にFP山崎隼磨が相手の田口のシュートをスライディングでブロックした場面だ。「山崎はもともと、あまり感情を出さない選手だったのですが、あのシーンでは止めた後に床を叩いて感情を表に出していたので、とても印象に残っています」。この言葉に、「最後のブザーが鳴るまでは、絶対に最後まで戦おうという言葉を試合前にコーチからかけられていたので、そこは意識してやっていました」と植田も同調する。
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