東大を率いる元Jリーガー監督、“超頭脳軍団”での挑戦 「勝負に拘る厳しさ教えたい」

40人以上の学生スタッフが在籍「みんなの頭脳を結束させて…」

――林監督は明治大時代に関東1部リーグ優勝を経験されていますよね。所属しているリーグは異なりますが、やはり結果を追い求めていくという点では変わりませんか?

「試合をやるからにはやはり僕も勝ちたいと思ってやっています。選手たちにはサッカーを楽しんでもらいたいですし、一つでも上手くなってほしいという思いを持っていますが、その上で勝利を目指して戦っていくことも常に求めながらやっています。

 去年の東京都2部と比べてリーグのレベルはぐっと上がりました。周りはスポーツ推薦で選手が入ってくるチームばかりですが、ア式蹴球部にはそういった選手はいませんし、1部リーグの中でも競技面のレベルはまだまだ足りない部分はあると思います。

 もちろん、戦術的な部分も必要だと思いますけど、まずは個人が目の前の相手に負けないことが重要だと思っています。そういった個人のベースを伸ばしながら、戦術的には今やれることを最大限やっていこうと考えています。ただ、そのなかでもやっぱり大事なことは人間的な成長だと思っていますし、まずはみんながサッカーを楽しみながら勝つということを大事にしていきたいと思っています」

――ア式蹴球部には部員約60名の他に、マネージャーやテクニカル、トレーナーを含めて約40名のスタッフがいるそうですね。そういった部分は、“頭脳派軍団”の東大ならではのところだと感じました。

「そうなんですよ。戦術に詳しいテクニカルだけでも20人弱いますからね。だからこそ頭でっかちになりかねないので、そこは気をつけないといけないところでもあります。東大の基本的なスタイルとしてはボールをポゼッションしながらゴールまで行くという考え方なので、僕はそれを尊重しながら戦術を考えますけど、サッカーはボールを回すことが目的ではない。ポゼッションは手段であって、ゴールを決めることが目的です。なので、ゴールを決めるために何ができるかを忘れないようにして、ボールと人がゴールに向かうようなサッカーを目指していきたいなと思っています」

――強化ユニット長の高橋俊哉くん(3年生)に話を聞くと、林監督が就任してまずは守備のところが整備されたとのことでした。

「個の能力も高くて、攻撃力があるというチームであれば打ち合いになってもやっていけると思いますが、今はまだリーグの中で一番低いレベルにいるなかで(※)、先に点を取られてしまうと勝つ確率は下がると思います。現役時代から長いリーグ戦を戦ううえではとにかく失点しないことが大切で、守備が堅いチームが上にいけると感じていたので、まずはしっかり守備の堅いチームを作ることを目指しています。今年の目標は1部残留。簡単には勝てないですけど、まずは一つひとつ勝ち点を積み上げていくことですね」

(※)6月28日時点。ア式蹴球部は7試合を終えて1分6敗。13チーム中最下位に沈んでいる。

――テクニカルスタッフとはチーム作りにおいて意見を交換することも多いのですか?

「大学サッカーはやっぱり学生主体の部分があって、特に東大はそうだと思いますけど、僕は彼らの考えや意見を尊重しながらやっています。最後の決断は僕ですけど、みんなの力が必要だし、みんなの頭脳を結束させてやることが大切です。なので、テクニカルやOBコーチともよく話して、次に向けたプランなどを一緒に考えています」

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