「絶対に忘れられない」 残り10分で2点差追いついた2カ国、歴史的“死闘”と海外称賛

フランス代表に勝利したスイス代表(上)と惜しくも敗退となったクロアチア代表【写真:ロイター】
フランス代表に勝利したスイス代表(上)と惜しくも敗退となったクロアチア代表【写真:ロイター】

スイスとクロアチア、EURO16強で明暗分かれるも…史上初めて残り10分で2点差を追いつく

 3年前のロシア・ワールドカップ(W杯)ファイナリストのフランスとクロアチアが現地時間28日、欧州選手権(EURO)の決勝トーナメント1回戦で揃って敗退した。フランスはスイス、クロアチアはスペインにそれぞれ敗れたが、いずれも延長戦までもつれ込む文字通りの”死闘”となった。

 スペインとクロアチアの一戦は両軍合わせて8点が乱れ飛ぶゴールラッシュとなった。スペインのオウンゴールでクロアチアが先制するも、その後はスペインが後半32分までに3点を奪って逆転。そこで試合は決まったかに思われたが、同40分にクロアチアのキャプテンMFルカ・モドリッチのチャンスメイクからMFミスラフ・オルシッチが押し込んで1点差に詰め寄ると、アディショナルタイム2分にはオルシッチのクロスをFWマリオ・パシャリッチが頭で合わせて同点とした。

 延長戦に入って力尽きたクロアチアは、スペインのサイドアタックを防ぎきれずにFWアルバロ・モラタとFWミケル・オヤルサバルにゴールを許して3-5で敗れたが、敗色濃厚の状況から延長戦に持ち込むメンタリティーの強さを発揮した。米スポーツ専門局「ESPN」によれば、80分(後半35分)の時点で2点差以上をつけられていたチームが90分で負けなかったのは、クロアチアがEURO史上初めてのことだったようだ。

 しかし、同日に同じ条件で負けなかったチームがもう一つ現れた。それがフランスと激突したスイスだ。EUROではベスト16が最高成績だったスイスは、前半15分に優勝候補フランスを相手に先制に成功。その後、立て続けの3失点で逆転を許すも、後半36分、同45分の連続ゴールで試合を振り出しに戻した。奇しくもクロアチア対スペインと全く同じ得点の推移で延長戦にもつれ込む形となったが、異なったのは追いついた側のスイスが勝利を手にしたということだった。

 延長戦でも決着がつかずに3-3のままPK戦に突入すると、先攻のスイスは5人連続で成功。そしてフランス5人目のFWキリアン・ムバッペのキックをGKヤン・ゾマーがセーブし、スイスはEUROで初の準々決勝進出を決めた。

 計14ゴールが生まれ、どちらも劇的な展開だった決勝トーナメント3日目の2試合。「ESPN」は「クロアチアとスイスは我々に絶対に忘れられないマッチデーを与えてくれた」と、2点差ビハインドを跳ね返した両チームの健闘を称えた。その2チームの明暗は分かれたが、どちらもEURO史に残る名勝負を演じたと言えるだろう。

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