イングランド代表の“偽”ユニフォーム爆売れ、正規品が売れない“珍現象”の理由は?
高額なユニフォームに嫌気? ファンを“客扱い”する協会とメーカーに非難の目
サッカーを観戦する時、応援するチームのユニフォームを身にまといたいと思うファン・サポーターは多いはずだ。ユニフォームの売り上げは、チームにとっても、メーカーにとっても重要な収入源となる。ところが、英紙「ザ・サン」によるとイングランドでは非正規のユニフォームが、正規のユニフォームよりも売れるという“珍現象”が起きているという。
現在、欧州各地で開催されている欧州選手権(EURO)は、欧州のみならず、世界中で観戦されている。各国代表ユニフォームは観戦時の必須アイテムと言えるが、イングランドではファン・サポーターが、実際に代表チームが身にまとっている英国サッカー協会(FA)の公式レプリカユニフォームを買わずに、FAのエンブレムが使用された黒い中国製の非公式ユニフォームを買う人が殺到。20ポンド(約3000円)で販売されているこの1着が露店やパブから姿を消し始めており、在庫切れになりそうだという。
FAは、育成年代への投資に影響が出るとして、非公式ユニフォームを非難する声明を発表。しかし、EUROに向けてイングランド代表を応援する非公式応援ソングを発表したラッパーのジミー・デービス氏は、フェイクユニフォームを買うサポーターを擁護した。
「ナイキ社とFAは気付いていないが、イングランド代表ユニフォームには2つのバッジが付いていて、ナイキのバッジは重要ではないんだ。大事なのはスリーライオンズなんだ。このような1年を全員が過ごした後、どうして70ポンド(約11000円)もするユニフォームを販売できるんだ。サッカーのファンは、もうファンと思われていない。単なる客の扱いだ。この競技は可能なすべての面で収益化されていて、こういう人たちにとってサッカーはビジネスでしかない」と、オフィシャルユニフォームが高額であると非難した。
さらに、オフィシャルユニフォームのメーカーが、アメリカのナイキ社であることも批判。「以前、代表のユニフォームはイングランドのメーカーによって作られていた。それが打撃を緩和してくれた。でも、今の私たちは、顔の見えない強欲なアメリカの企業に金を払わないといけない」と、自国から他国のメーカーに切り替えたことも、間違いだったと指摘している。なお、爆売れされているとされる偽物にも、胸と左下の部分にはナイキ社のロゴが入っている。
FAは、非公式グッズに対しての声明を発表。「公式グッズを買っていただくことが、我々がこの国のサッカーへの投資とサポートを継続できる方法です」と理解を求めるとともに、「オンラインでも店舗でも、FAの非公式グッズを販売していることに気付いたら、私たちが行動できるように連絡をください」と、取り締まりを強化することを発表した。
非公式ユニフォームは、すでに相当数が出回っていることが予想されるが、FAの声明はファンに届くのだろうか。