浦和が「獲れるはずのない」江坂を獲得できた理由 西野TDが明かす“補強の舞台裏”
柏から江坂を完全移籍で獲得、柏木退団後の“補強ポイント”に完全合致
浦和レッズは25日、柏レイソルからMF江坂任が完全移籍で加入することを発表した。今回の補強について西野努テクニカルダイレクター(TD)が記者会見を行い、「チームの機能としてこの上ない、この他にない選手が獲得できた」と、補強ポイントに完全合致する獲得だったことを明かした。
江坂は2018年から柏レイソルでプレーして4シーズン目。今年3月には日本代表にも招集され試合に出場している実力者で、柏では背番号「10」をつけてキャプテンマークを巻くこともある存在だった。西野TDは今季のリカルド・ロドリゲス監督の就任以来、「こんな選手が獲れたら良いねという選手のリストはあり、非現実的な選手の名前もあるが、江坂選手の名前もあった」と話す。一方で「獲れるはずのない選手という認識」だったことも明かした。
そうしたなかで、江坂獲得の可能性が浮上したのは今月に入ってから。西野TDは「日常的にスカウトのスタッフが情報集めをしているなかで出てきたもの。まだ出回っていない情報を素早くキャッチし、それに対して素早い判断、議論も必要だった。獲れる環境になかった選手が獲れるようになったという点で、権利を確保するのが第一。そういう環境だということだったので、まずは契約をすると急いだ」と、その舞台裏の一部を明かした。
現在、浦和ではトップ下のポジションでは今季新加入のMF小泉佳穂が存在感を発揮している。一方で、西野TDは2月に規律違反もありFC岐阜にMF柏木陽介が移籍したため、このポジションが補強ポイントとして認識されていたことも明かした。
「去年の年末から補強ポイントを精査して、新戦力が必要なポジションはここだと話してきた。柏木選手が抜けてから、ゲームを作ってパスを供給し、FWに点を取らせる機能が欠けている面があり、そこは継続していた。江坂選手くらいの選手ならいつだって獲得したいし、補強ポイントだった。それが急に獲得できるようになって、という巡り合わせがあった」
認識されていた補強ポイントと、「獲れるはずのない選手」だった実力者が獲得候補として急浮上したというのは、まさに最高の巡り合わせだったのだろう。
ロドリゲス監督に打診した際のリアクションも「彼が就任する時からそんな会話をしていて、いまだにあり得ない選手の名前も出てくるが、時々出てきた名前だった。よく知らない選手なら映像を見てみる、スタッフと話してみるというリアクションもあるが、今回はそのプロセスなく『いってくれ』ということだった」と、指揮官にとっても渡りに船だった。