辛口モウリーニョが絶賛…プレミア屈指の“王様”MF EUROで証明、強豪で飛躍の予感
【英国発ニュースの“深層”】グリーリッシュ獲得にチェルシーも本腰、EUROでは献身的なプレーを披露
ジョゼップ・グアルディオラ監督が“惚れ込んでいる”との報道もあり、今夏中のマンチェスター・シティ移籍が確実視されているアストン・ビラ所属のイングランド代表MFジャック・グリーリッシュだが、ここにきてチェルシーもスキルの高い攻撃的MF獲得へ、本格的に興味を見せ始めたようだ。
英サッカー専門サイト「フットボール・インサイダー」が掲載した記事によると、オーナーのロマン・アブラモビッチ氏が直々に「グリーリッシュ獲得指令を出した」と、チェルシー関係者が証言したという。
強権オーナーの鶴の一声がかかったとすれば、これはかなり有力。同サイトが指摘するように、獲得競争で先行していたシティも、うかうかできない状況となった。
グリーリッシュはこの記事が出た6月22日、欧州選手権(EURO)グループリーグ最終戦のチェコ戦(1-0)に先発出場。18日に行われたスコットランドとの“英国ダービー”が0-0のスコアレスドローに終わり、「創造力不足」「ラストパスの精度が低い」と非難が集まるなかで、スキルの高いグリーリッシュが先発。FWラヒーム・スターリングがヘディングで決めた先制点のシーンでは、絶妙なピンポイントクロスを放ち存在感を示した。
またこのチェコ戦では、相手DFを引きつけてから正確にパスを左右に散らして再三攻撃の起点になっている。普段はプレミアリーグの中堅チームであるアストン・ビラで“王様プレー”が目立ち、やや傲慢な印象も強い選手。しかしクオリティーが揃ったイレブンに入れば、しっかり献身的なチームプレーもできるところを披露して大きく株を上げた。
さらにはEURO開催直前、あの“辛口”ジョゼ・モウリーニョが自身のコラムで、イングランドのなかで「最も期待する選手。左サイドがベストポジションだと思う。自分なら絶対に使う」と評価したことでも注目が集まっていた。
レスターの“王様”だったFWリヤド・マフレズがシティに移籍後、”独りよがり”とも言われたプレースタイルを改善して、さらなる飛躍を果たしたように、シティやチェルシーといったビッグクラブへの転身で、25歳グリーリッシュが大きく開花する可能性は高い。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。