カテナチオはどこへ? 「イタリアらしくない」アズーリ、EURO強豪国の“似通う特徴”

イタリアが立ち返る場所は「カテナチオ」ではなくなった

 さて、イタリア。ほぼセリエAの選抜チームだ。ただし、特定のクラブに寄せてはいない。しかし、イタリアには堅守速攻の伝統がある。クラブはバラバラでも、伝統に沿っていけばまとまるはず、立ち戻る場所がちゃんとある……はずだった。

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 現在のイタリアは立ち戻る場所がない。プレースタイルを変えてしまったからだ。イタリアサッカー連盟が主導して、強豪国では最後の「スペイン化」に着手。その結果、セリエAもそういうクラブが多くなった。特定クラブの転用ではなく、伝統にも頼らない。ところが、EUROのイタリアはクラブチームのように作りこまれているのだ。

 立ち戻る場所は「カテナチオ」ではなく、現代的な「ポジショナルプレー」になった。そして新しいベースを持つ選手を集め、個性に合わせてオーダーメイドの形を作る。

 実は他の強豪国も作り方が似ていて、ドイツ、イタリア、イングランド、フランス、ベルギーの間には違いがあまりないように見える。イタリアとイングランドが似ているなど、少し前には考えられなかったが、実際今はそうなっている。イタリアはイタリアらしくなくなったが、強くはなった。強豪国はどれも似てきて、国の特徴が出るのはむしろ強大ではない国。EUROはその縮図になっている。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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