元Jリーガー初の都議会議員への挑戦 “プリンス”星大輔、町田の未来に捧げる第2の人生

元Jリーガー初の東京都議会議員当選を目指す星大輔氏【写真:本人提供】
元Jリーガー初の東京都議会議員当選を目指す星大輔氏【写真:本人提供】

【元プロサッカー選手の転身録】星大輔(元横浜FM、町田ほか)後編:引退後、“なんでもやる精神”でクラブ職員からスタート

 世界屈指の人気スポーツであるサッカーでプロまでたどり着く人間はほんのひと握り。その弱肉強食の世界で誰もが羨む成功を手にする者もいれば、早々とスパイクを脱ぐ者もいる。サッカーに人生を懸けて戦い続けた彼らは引退後に何を思うのか。「Football ZONE web」では元プロサッカー選手たちに焦点を当て、その第2の人生を追った。

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 今回の「転身録」は、日本代表が勢揃いしていた横浜F・マリノスでキャリアをスタートさせ、計7クラブに所属した星大輔(40歳)だ。生まれ育った町田に拠点を置くFC町田ゼルビアをJ2昇格に導き、2011年限りで現役引退。町田のクラブスタッフ、町田市議会議員を経て、元Jリーガー初の東京都議会議員当選を目指している。後編では引退後のセカンドキャリアで歩んだ道のりを振り返り、東京都議会議員を目指して奮闘する姿を追う。

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 1999年のプロ入り以降、13年間のサッカー人生を駆け抜けた星大輔は現役引退の決断をした当初、セカンドキャリアのビジョンはまだはっきりとは見えていなかった。現役生活ラストに所属したFC町田ゼルビアからユースのコーチ就任を打診されたが、社会人になることへの不安を素直にクラブに伝えたという。

「正直、引退後のことは何も定まってなくて、悩んでいました。そこに、FC町田ゼルビアから『町田のために、サッカー選手として“第2の星大輔”を作ってくれないか』と、ユースコーチの話をいただいたんです。ただ、一般の会社に勤めてイチから出直したり、自分で会社を作って起業、と考えたこともありましたけど、高卒でサッカー選手になったので、このまま社会に出て行っても、視野が狭くて何もできないんじゃないかという思いがありました。それを正直にクラブ側に伝えたら、コーチじゃなくてフロントスタッフも募集しているから、やってみるかと」

町田のクラブスタッフ時代はサッカー教室にも参加【写真:本人提供】
町田のクラブスタッフ時代はサッカー教室にも参加【写真:本人提供】

 星は2012年から6年間、FC町田ゼルビアのホームタウン推進・営業担当として、フロント業務を行う傍ら、週1回ペースでサッカースクールのコーチも務めた。いわゆる一般社員となり、スポンサーや行政とのやりとりにはじまり、「ゼルビア朝礼」やクラブ独自の“夢先生”などPR活動、地域のイベント参加、ツアーコンダクターに至るまで、すべてが勉強だと「なんでもやる精神」でクラブのために駆け回った。そこで目の当たりにした街づくりやボランティア活動の舞台裏が、星を政界の道へと導くことになる。

「試合の6時間前にボランティアの方たちが集合して机やゴールを運んだり、町内会・自治会の方が駅前を掃除して綺麗に保ってくれていたり、子どもの見守りをしてくれていたり、選手を辞めて初めて見えてきたものがありました。選手のホームタウン活動はある程度セッティングされていますが、私の場合は飛び込みでガンガン現地に行って、地域の方々と交流させていただきました。町田のために汗を流す姿もそうですし、そこで学ばせてもらったことが、議員になりたいという思いにつながっていきました」

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