日本代表、W杯最終予選の“勝算”と“課題” 金田喜稔が指摘する「2つの不安要素」とは?
2次予選の戦いでは確認できなかった、最終予選に向けた“2つの不安要素”
「日本は本当に力をつけてきている。だがW杯アジア最終予選、その先の本大会を見据えた時にさらなる成長を求めたくても、残念ながら2次予選ではレベルの差がありすぎて強化にならない。それを補うために親善試合を組んだとしても、コロナ禍で本当によく来日してくれたけど、残念ながらセルビアも、U-24代表と対戦したガーナもジャマイカも日本が成長の手応えをつかめるような対戦相手ではなかった」
2次予選の結果を受け、7月1日にW杯アジア最終予選の組み合わせ抽選会が実施され、いよいよ9月2日からカタール行きを懸けた10試合の戦いがスタートする。6チームずつ2グループに分かれるなか、各組上位2チームがW杯出場権を獲得し、3位がプレーオフに回る。金田氏は「最終予選が2次予選のようにいかないことは、選手はもちろん、監督やコーチの誰もが分かっている。最終予選の緊張感、対戦相手のチーム力や個の強さは比較にならない」としたうえで、「しかも開幕する9月は、現在の日本代表メンバーの大半を占める欧州組にとっては新シーズンがスタートして間もない時期。実際にレギュラーとしてゲームに出られている保証などなく、当然、選手個々のコンディションにもバラつきが出てくる」と、最終予選開幕時のチーム作りの難しさを指摘する。
こうした困難が待ち受けることが予想されるが、金田氏は今年に入ってから国内で行われたW杯アジア2次予選と国際親善試合を観て、「強度のあるゲームが想定できない悲しさ」を感じ、最終予選に向けて次の2点を不安要素として挙げている。
「当然のことだが、毎試合のように大勝する2次予選では“1点の重み”はどんなに意識していても希薄になる。例えばキルギス戦の前半終了間際に守田が与えたPKは、ペナルティーエリア内であることを考えれば、相手に完全に振り切られたあの状況で後方からスライディングタックルに行くべきではないし、最終予選では致命傷になる。あそこは割り切って、中の選手がマーカーを捨ててズレて寄せに行くか、マンマークでしっかりと固めて守り抜くのか。そういう細かな共通理解の積み重ねをしていくべきだろう。
そしてもう一つは、日本が先制点を相手に取られる状況を今年に入ってから一度も経験していないこと。先制点を奪われ、必死になってその1点を守ってくる相手をどう崩すかというのは、そうした状況を経験しなくてはトレーニングのしようがない。監督の采配が問われるような力が対戦相手になかったため、試したいことが試せないジレンマは森保監督にもあったはずだ」