岩渕真奈がエースナンバー「10番」を託された理由 高倉監督が感じた“内面の変化”
「成熟の時」が来たとしてエースナンバーを託す
なでしこジャパン(日本女子代表)は18日、今夏の東京五輪に臨むメンバー18人とバックアップメンバー4人を発表。高倉麻子監督はFW岩渕真奈(アーセナル)にエースナンバーの「10番」を託したが、そこにはこれまで期待をかけつつ見守ってきた思いがあった。
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岩渕は世界的にも大きく認知されたのは2008年のU-17女子ワールドカップ(W杯)で、この時の鮮やかなドリブルや得点力には、元アルゼンチン代表MFディエゴ・マラドーナ氏の名前からもじった「マナドーナ」というニックネームも生まれ、チームがベスト8で敗退したのにもかかわらず大会MVPまで受賞した。そして、11年に日本が初優勝した女子W杯でもメンバー入りして初戦では貴重なFK獲得もあり、次世代のエースとして期待されてきた。
翌12年のロンドン五輪では決勝戦でアメリカと対戦し、決定機をGKホープ・ソロに防がれて涙した。15年の女子W杯では負傷も抱えながら途中出場で決勝ゴールを決める試合もあり、準優勝に貢献。この世代の世界一を争ったチームでは、「みんなの妹」とでも呼ぶべき立場で、チームの力になった。
しかし、翌年のリオ五輪アジア予選で敗退して本大会行きを逃すと、高倉監督の就任からチームは世代交代も進んだ。指揮官は岩渕について「若い頃から注目、期待を一身に受けて、心の内側を考えれば苦しい部分もたくさんあっただろう」と言及。チームの発足当時から「10番」の候補ではありながら、「持っているパフォーマンスや潜在能力も含め、(10番を)託す時は成熟した時だと感じていたので、意図的に8番を背負ってもらいながら成長を待っていた」と意図を明かした。
それには、このなでしこジャパンの「10番」が、前述の世界大会で3回連続決勝に進んだ時につけていた澤穂希さんの強い印象が色濃く残ることが理由にもある。高倉監督にも「代表の10番というのはただの番号と言えばそれまでだが、なでしこの象徴的な10番と言えば澤さんになってくると思う。彼女の後で10番を背負う選手には重い意味があると感じている」という思いがあった。