【月間表彰】「ゴールは一番意識しています」 福西崇史×荒木遼太郎対談…19歳“トップ下”の強い意志
荒木から福西氏へ逆質問、ボランチからパスを引き出すために必要なことは?
――以前、荒木選手は柴崎岳選手が目標と言っていましたが、それは変わっていませんか?
荒木 変わらないですね。柴崎選手のようにゲームをコントロールできたら凄いなと思いますし、そこを目指しています。
福西 柴崎選手は、もう少しボランチ的だと思うのですが、どういうところが目標になっているんですか?
荒木 少し前になりますが、2018年W杯のベルギー戦で柴崎選手のパスから原口(元気)選手がゴールを決めたのですが、一本のパスであんなチャンスが作れるなんて凄いなと思いました。パス一つで、あんなにチャンスかどうかが変わるので、僕も一本のパスで決めさせてあげられるようなパスを出したいですし、点を決めたりする姿も見ているので、そういう選手になりたいなと思っています。
福西 よく見ていますね。
荒木 あのパスは衝撃を受けました。
福西 それがあのレベルでできるのは凄いですよね。将来的な代表入りはどう思っていますか?
荒木 同世代にも久保(建英)選手がいますし、世界を見れば自分の年齢でA代表に入っている選手も結構いますよね? だから年齢は関係ないと思っているので、どんどんアピールし続けて、どんどんそこに絡んでいきたいなと思っています。
――荒木選手は、福西さんがかつて2度のワールドカップに出場したボランチの選手だったということはご存じですか?
荒木 はい。知っています。
福西 本当ですか。2002年に生まれたんですよね?
荒木 はい。2002年です(笑)。
福西 2002年の日韓W杯なんて、生まればかりだから記憶にないですよね?(笑)
荒木 ありません(笑)。福西さんの現役時代の映像は……すみません、見たことがありません。
福西 全然いいですよ(笑)。この大会は見たなというのは、2010年大会くらいですか?
荒木 南アフリカ大会からですかね。僕からも質問していいですか? 今、ボランチの一つ前のトップ下でプレーしているのですが、相手に警戒されていてもそこで受けたいと思っているのですが、ボランチが持った時の顔の出し方だったり、どうすればボランチの選手にパスを出してもらえますか?
福西 ボランチの選手はターンをする前から、トップ下の選手の位置とか、相手のボランチの選手の守備の位置を見ていると思うので、あとはタイミングの合わせ方だと思います。自分が欲しいタイミングでパスを要求し続ければ、タイミングは合ってくると思うので、パスが来なくても要求をし続けることが大事だと思います。そうすれば「荒木選手はこのタイミングでボールが欲しいんだ」っていうのが、ボランチの選手も分かると思うので。
荒木 なるほど。
福西 マークが厳しいと、ボールを取られてしまうこともあると思いますが、ボランチの選手は自分の前で守備ができればいいので、ボールを取られてすぐにプレッシャーをかけたり、相手の動きに制限をかけてくれたりすれば、全然、問題ないですし、その後もパスは出てくると思います。いつもいつも取られていたら、『出すのやめようかな』と思うかもしれませんが(笑)、荒木選手ならそこからターンもできるし、そこからゲームを作れると思うので、どんどん「このタイミングでボールをください」と伝えたほうがいいと思いますよ。その代わり、取られた後に守備をしないと、今は監督にも怒られますからね(笑)。
荒木 はい。そこは、しっかり徹底します。
福西 荒木選手はボランチをやったこともあるので、味方のボランチの気持ちも分かると思いますし、相手のボランチやディフェンスラインが何をやられたら嫌かも分かると思うので、味方にもどんどん要求できれば、チームを引っ張れると思いますよ。
荒木 ありがとうございます。まずは鹿島にタイトルをもたらす選手になりたいと思っていますし、鹿島で結果を出せばA代表にも入れると思います。A代表でW杯とかにも出て、日本を背負って勝たせられるような選手になれたら、自分の理想の選手になれると思うので、頑張りたいと思います。
――福西さん、W杯の舞台というのはどんなところでしたか?
福西 僕は最初の2002年に出た時はめちゃくちゃ緊張しました。自分は緊張しないタイプだと思っていたのですが、あんなに緊張した大会はなかったですね。それもあったので、2006年は落ち着いて入れましたが、荒木選手が緊張している姿を僕も見たいですね(笑)。それくらい大きい大会だと思います。野望も大きいですし、活躍できれば海外からのオファーもたくさん来ると思うので、そうなった時は羽ばたいてほしいですが、まずはJリーグで頑張って結果を出してほしいなと思います。これからも期待して見ていこうと思います。
荒木 はい。頑張ります! 今まで福西さんはテレビで見ている人だったので、話せて不思議な感じがしました(笑)。ありがとうございました。
[プロフィール]
福西崇史(ふくにし・たかし)/1976年9月1日生まれ、愛媛県出身。95年にFWとしてジュビロ磐田に加入すると、プロ入り後にボランチへコンバートされ黄金時代を迎えたチームの中盤を支えた。J1通算349試合62得点の成績を残し、Jリーグベストイレブンも4度受賞。日本代表としても国際Aマッチ64試合7得点を記録し、2002年日韓大会、06年ドイツ大会とワールドカップに2度出場した。04年アジアカップでは優勝を経験している。