【月間表彰】「ゴールは一番意識しています」 福西崇史×荒木遼太郎対談…19歳“トップ下”の強い意志
5月のベストアグレッシブプレーヤーに「鹿島復調のキーマン」MF荒木遼太郎を選出
「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」では、各月ごとに各部門の表彰を実施している。「Football ZONE web」では、現役時代に強靭なフィジカルと戦術眼を武器に日本代表としても活躍した福西崇史氏に、その月に最もアグレッシブなプレーを見せた選手を選出してもらった。
福西氏が5月度の「月間ベストアグレッシブプレーヤー」に選出したのは、5月のリーグ戦で上位チームとの対戦が続きながらも、5勝2分2敗という成績を収め、一時の低迷から脱却した鹿島アントラーズのU-20日本代表MF荒木遼太郎だ。昨シーズン、鹿島の高卒ルーキーとしては元日本代表DF内田篤人氏以来となる開幕戦出場を果たした荒木は、今シーズンは鹿島のトップ下で活躍し、リーグ戦17試合に出場して6ゴールを記録している。
日本を代表する名門・鹿島の攻撃を牽引する19歳を福西氏は高く評価し、アグレッシブにゴールへ向かい続けるアタッカーが、5月に見せた得点に絡んだ2つのシーンをピックアップ。元日本代表選手の視点から、2つのプレーが生まれた背景を聞くとともに、荒木の過去、そして描いている未来像にも迫った。
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福西 今回、5月のベストアグレッシブプレーヤーに荒木選手を選ばせていただきました。なかでも2つのプレーに注目させてもらったのですが、一つ目は第21節の名古屋グランパス戦、後半41分のプレー。永木(亮太)選手のパスから荒木選手がヒールパスで杉岡大暉選手のゴールをアシストした場面です。
荒木 ありがとうございます。
福西 荒木選手が相手がついて来ているのを見て、杉岡選手が入ってくるスペースを空けた動き。そして、ヒールで落としたアイデア。この2点が特に素晴らしいと感じたのですが、ヒールをしようというのはどのあたりで決めたのですか?
荒木 (永木)亮太くんがボールを持った時、1人サイドに引きつられたところでスペースが空きました。そこでボールを受けようとしたのですが、最初は自分でシュートを打つつもりだったので、ワンタッチで打つか、切り返して打つかで迷っていました。亮太くんからパスが出た時に、杉くん(杉岡)が走り込んでくるのが見えたんです。そのまま縦に走るかなと思ったら、少しスピードを緩めたのが見えたので、『あ、それならヒールで落としたらいけるな』と思いました。だから、シュートからヒールに切り替えたのは、杉くんがスピードを緩めた時ですね。
福西 さすがですね。荒木選手が流れたところで、もともといたゴール前にスペースができましたが、この時にマークしている相手もつるという意識もあったのですか?
荒木 いや、とにかく自分がもらって打ちたいなっていう一心でしたね(笑)。でも、動いてから「あ、相手をつり出せたな」とは思いました。
福西 相手にとっては、絶対に抑えないといけないペナルティーエリア内で、こういうアイデアを出されると、点が入る確率がものすごく高くなります。アグレッシブに考えて動いているなということで、このプレーを取り上げました。もう一つのシーンは、第16節のC大阪戦の後半27分の先制ゴールのシーンです。相手のパスミスから土居聖真選手にボールが入り、荒木選手がパスを受けてシュートを決めましたが、「パスを出してくれるな」というのは分かっていましたか?
荒木 分かっていました。セレッソのDF3人が聖真くんに行った時には、自分がフリーになっていました。3人に囲まれた時、聖真くんにはこっちが見えていたので、「出してくれるかな」と思っていました。
福西 パスが出た時には、相手も遅れていたと思いますが、何を考えたんですか?
荒木 ファーストタッチの前に、一つ左に切り返して、右足でシュートを打とうというのは、パスをもらう前から考えていました。
福西 後ろからくる選手が速かったですよね? それでシュートを早めたのですか?
荒木 切り返しの時、足もとにボールが入り過ぎたというのもあるのですが、相手が来ているのも分かっていたので、ちょっと急ぎ目というか、振りを速くしてコースに流し込むことだけを意識した感じです。
福西 イメージ通りでしたか?
荒木 そうですね。ファーストタッチが決まらなかったことはありますが、切り返して打つというのはイメージ通りでした。
福西 DFが切り返しを読んできたら、縦に行って左足でシュートという選択肢も持っていましたか?
荒木 そうですね。相手は藤田(直之)選手だったと思うのですが、藤田選手をファーストタッチでどこに動かすかというのを意識していたので、もう少し中を切ってきていたら、左足で打っていたと思います。
福西 このシーンもですが、瞬時の判断が素晴らしいですよね。しかも、どちらのプレーも常にゴールを意識しているからできるのかなと思うのですが、ゴールは常に意識されていますか?
荒木 そうですね。ゴールが一番、目に見える結果だと思っているので、ゴールは一番意識しています。
福西 ポジションは攻撃的MFが一番やりやすいですか?
荒木 はい。トップ下が一番やりやすいですね。ボランチも高校時代にずっとやっていたのですが、攻撃が好きなのと、トップ下が一番攻撃に専念できるので好きなポジションです。