エリクセンがICD装着へ 蘇生の瞬間の会話を医師が告白「クソ、俺はまだ29歳だぞ…」
デンマーク協会はエリクセンがICDを使用することを発表
デンマーク代表の10番を背負うMFクリスティアン・エリクセン(インテル)は、12日に行われた欧州選手権(EURO)フィンランド戦(0-1)の試合中に突然倒れ込み、病院へ救急搬送された。現場にいた者たちだけでなく、世界中のファンにも大きなショックを与えた出来事の様子を、欧州サッカー連盟(UEFA)のドイツ人のイェンス・クレインフェルト医師が明かしている。スペイン紙「ムンド・デポルティーボ」が報じた。
エリクセンはフィンランド戦に先発出場したが、前半40分過ぎ、スローインを受けようとした際にピッチに倒れこんだ。接触などはなく、ピッチ上ではメディカルスタッフによる心肺蘇生が行われた。そして、AED(除細動器)の助けを受けて、心臓は再び動き出したという。
クレインフェルト医師は、「30秒ほどしてから、選手は目を開けて、私は彼と話をすることができた。それはとても感動的な瞬間だった。なぜなら、日常的にこうした緊急のことが起きた場合、成功する可能性はとても低いからだ」と振り返った。そして、エリクセンとの言葉を交わしたことも明かしている。
「私は、彼に『しっかり帰って来たかい?』と聞いたら、彼は『ああ、戻ったよ。クソ、俺はまだ29歳だぞ』と答えたんだ。この時、私は彼の脳がダメージを受けていないこと、そして彼が戻ったことを理解したよ」
その後もエリクセンは、スタジアムにいる間に、意識が完全に戻ったかを確認するために問われた質問にすべて答えたという。ただし、病院に搬送するために必要な医療機器を準備するために、長時間の準備が必要だったとクレインフェルト医師は説明している。
また、英紙「イブニング・スタンダード」は、デンマークサッカー協会の発表として「エリクセンが『ハートスターター(ICD)』を装着する」ことを発表した。ICDは埋め込み型除細動器で、心臓の動きを常時監視し、頻脈が検出されると治療を行う器具だという。
デンマークサッカー協会は「クリスティアンは、様々な心臓の検査を受けた結果、ICDを使うべきだと判断された。この装置は心拍の乱れがあった後、心停止した後に必要となる。国内外のスペシャリストから同じ提案を受けており、クリスティアンは、状況を受け入れている。引き続き、クリスティアン、そして彼の家族が安心とプライバシーを保てるように、ご配慮をお願いします」と、声明を発表した。
なお、デンマーク代表は17日にベルギー代表とEUROグループB第2節の試合を行うが、この試合では前半10分に、エリクセンを励ますために試合を止めて、拍手を捧げる予定となっている。
(FOOTBALL ZONE編集部)