日本代表「W杯2次予選」を英記者が総括 圧倒的陣容も…なぜ鈴木優磨を呼ばないのか
グループ内で大きかった戦力差、日本は国内組で戦っても楽々と突破が可能だった
日本代表は15日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の最終戦でキルギス代表に5-1と快勝した。8戦全勝、46得点・2失点という圧倒的な成績を残して9月から始まる勝負の最終予選へと駒を進めたが、森保一監督が率いる日本の2次予選での戦いぶりは、海外の識者の目にはどのように映っていたのか。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、「3年前のスターマン」の転落劇に注目したうえで、FW鈴木優磨(シント=トロイデン)の最終予選での招集を提言している。
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8戦全勝で、失点はわずかに2。コロナ禍の影響により、22カ月にも及んだW杯アジア2次予選で、森保監督は39選手を起用した。そしてサムライブルーは、予想通りに最終ラウンドに無難に駒を進めている。
キルギス戦でも5-1と相手を破壊したことで、グループFの他国と日本の戦力差を改めて浮き彫りにしたが、最終予選ではこんな楽な展開を予想することはできない。FWオナイウ阿道が、前半の6分間でハットトリックを記録したことが、2次予選の現実を浮き彫りにしていた。実際のところ、このラウンドはJリーグでプレーしている選手以外をフィールドに送り込む必要はほとんどなかった。国内組でも楽々と突破が可能だったと思う。
だが、指揮官は1位の座を確定させるまで、ほとんどリスクを冒さなかった。
最終予選の状況はドロー次第となるが、タレントが充実している日本代表の選手たちは7大会連続のW杯出場に強い自信を抱いていることだろう。
他国の現状を鑑みれば、それも理解できる。先日の日韓戦で完敗した韓国だが、日本と多くの点で似たクオリティーを有しており、“中東の雄”イランは強靭さと対戦相手を苦しめる攻撃的なタレントがいる。
サウジアラビアは予測不能で、オーストラリアは常にフィジカル、メンタルともに充実した状態で大一番に乗り込んでくる。しかし、技術面の優秀さと、戦術的な選択肢の広さから、日本は本大会出場の本命と言える。それは2次予選で存分に証明されている。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。