【月間表彰】「いいポジショニングを心掛けている」 栗原勇蔵×チアゴ・マルチンス対談…スライディングしない理由とは?
チアゴが挙げた日本人CBで良いと思う選手は?
栗原 そんなJリーグナンバーワンCBのチアゴ選手から見て、日本人のCBで良い選手だなと思う選手は誰かいる?
チアゴ 川崎フロンターレのタニグチ(谷口彰悟)選手はビルドアップとか足もとがいいし、ポジショニングもいいですよね。あとはトミヤス(冨安健洋)選手。ヨーロッパでもすごく評価が高くていい選手。日本人CBのなかで一番じゃないかなって思っています。
栗原 他にはいないの?
チアゴ もちろん、シン(畠中槙之輔)! チームメートだから挙げるのはナシかなと思っていたんだけど……。シンはビルドアップや視野の広さ、前に当てるボールとか、すごく上手い。シンは日本のトップレベルにいる選手だと思うよ。個人的には、僕とすごくハマったCBコンビなのかなって思っています。
栗原 フロンターレのジェジエウ選手と谷口選手、F・マリノスのチアゴ選手と畠中選手のコンビは似ていると言われているけど、チアゴ選手自身はどう感じているの?
チアゴ 一人は高さ、強さといったフィジカル面で優れた選手で、もう一人はビルドアップやパスといったゲームを組み立てる面で優れた選手。うん、確かに似ていますね!
栗原 さらに言えば、ジェジエウ選手とチアゴ選手はJリーグ屈指のCBということで、評価を二分しているんだけど、見ていて感じるのはジェジエウ選手よりもチアゴ選手のほうが隙はないんじゃないかと。チアゴ選手自身はどう見ているの?
チアゴ 確かに比べると似ている部分もありますけど、似ていない部分もあると思っています。ただ、それを比べるのは難しい。それはチームの戦術が違うからです。F・マリノスはリスクを背負って1対1でも攻撃に参加する戦術なので、どうしてもカウンターを受ける機会が多くなってしまいます。だから1対1になる場面が多くて、対人守備で目立つことが多い。でも、フロンターレ自体がみんなで上手くカバーし合って、そこまでリスクを背負って攻撃に行く感じでもないので、ジェジエウ選手が一人で体を張っているような場面はそんなに多くないのかなって思いますね。
栗原 同じブラジル人で、似たタイプの選手で、同じポジションで、どうしても比較されてしまうことも多いと思うけど、俺はチアゴ選手のほうが優れていると思ってるから。
チアゴ 勇蔵さんにそうやって褒められると嬉しいですし、こんな偉大な選手に認められると嬉しいですね。これに満足せずにもっともっとレベルアップして、チームのために貢献していきたいです。
栗原 気が付けば、F・マリノスでもう4シーズン目になるんだね?
チアゴ そうなんです。毎年チームが強くなっていると感じますし、成長していると思います。チームの成長はみんなのサポートがあってこそです。選手だけじゃなく、コーチングスタッフや会社、F・マリノスの関係者すべての皆さんのおかげ。それにファン・サポーターの皆さんのおかげです。だけど僕が感じるのは、このチームはもっともっと成長できる。F・マリノスファミリーとして、一緒にもっともっと上を目指していけたらと思っています。
栗原 ちなみに、俺の進行ぶりはどうだった(笑)?
チアゴ 本当に気持ちよく話すことができましたし、アットホームな感じで取材できたと思います。選手時代から勇蔵さんのことは知っているけど、現役時代も一生懸命練習していて成長したいんだなという気持ちが見られたし、引退後もどんどん成長していっていると感じるので、第二の人生もさらに成長してほしいです。今日は本当に楽しかったですし、毎回こういう雰囲気で取材したいですね。100点満点でした(笑)! 偉大な選手と一緒にプレーできたことも光栄でしたし、第二の人生にこうやって絡むことができたことも光栄です。ありがとうございました!
栗原 俺も楽しかったよ。まだまだ聞きたいことがあるから、ぜひまた今度、改めて聞かせてください。ありがとうございました。
[プロフィール]
栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。