【月間表彰】「オフサイド・ディレイはDFからしたらきつい」 栗原勇蔵×チアゴ・マルチンス対談

ハンドボールもプレーしていたチアゴが12歳でサッカーを選択した理由

栗原 チアゴ選手の能力は誰もが認めるところだけど、そのうえポジショニングも良くて、コーチングで周囲の選手を動かすこともできる。まさに“鬼に金棒”状態の選手だと思う。なので、単純にミスか、相手の攻撃が完璧な時じゃないとやられることはない。身体能力が高いので目立つけど、決して派手なプレーじゃないし、ポジショニングもいい。改めて本当に凄い選手だと思いました。

チアゴ こうやって選ばれてすごく嬉しいですし、勇蔵さんのような偉大な経歴を持つ選手から選んでもらったことが何より嬉しい。勇蔵さんとも一緒にプレーさせてもらったし、勇蔵さんはサッカーを知っている人。むしろ同じディフェンスの選手から選んでもらったというのが光栄なことです。引き続き、F・マリノスのために、DFとしていいプレーを見せていきたいと思います。勇蔵さんはこれまでたくさんF・マリノスに貢献してきた人ですけど、勇蔵さんの貢献度のちょっとでもF・マリノスに貢献できたらと思っています。

栗原 いやいや、もう十分貢献しているよ! 今、副キャプテンで、神戸戦ではキャプテンマークを巻いていたもんね。今までF・マリノスで外国籍選手がキャプテンマークを巻いているのは、あまりなかったんじゃないかなと思う。

チアゴ F・マリノスに加入してから、チームメートと助け合う、ブラジル人も日本人選手も、助け合うことを第一に考えてやっているつもりです。F・マリノスに貢献したいし、長く日本でプレーしたいと思っています。

栗原 ちなみに、チアゴ選手には聞きたいことがいっぱいあるんだけど、まずはもともとサッカー以外のスポーツもやっていたって聞いたことがあるんだけど、サッカーを始めたのは何歳ぐらいの時なの?

チアゴ 子どもの時からスポーツが身近にあったんです。両親が体育の先生なので、いろいろなスポーツを教えてくれましたし、実際にやっていました。サッカーでキャリアを積もうと思ったのは12歳の時。ハンドボールとサッカーの大会があって、お父さんから「自分でどっちかを選びなさい」と言われて。お父さんとどっちのキャリアがいいのかを相談して、サッカーのほうがいいんじゃないかってことで、そこからサッカー1本で頑張り始めました。

栗原 ハンドボールやってたの? ブラジルではハンドボールもメジャースポーツなの?

チアゴ ブラジルではハンドボールも人気スポーツなんですけど、成功するためにはヨーロッパで活躍しないといけない。でもサッカーは国内で成功している人もいて、サッカーのほうが成功する確率が高いから、お父さんからのアドバイスもあったけど、最終的には自分で選びましたね。

栗原 今の時点で、その時の選択は正解だったと思う?

チアゴ 間違いなく正しい選択だったと思います。サッカーを選択したこともそうだし、ここまでキャリアを詰めたのも家族のサポートがあったからこそだと思っています。

(後編へ続く)

[プロフィール]
栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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