「結果は全く無意味」 元デンマーク代表GK、エリクセン救急搬送後の“試合再開”を批判
シュマイケル氏がUEFAの判断を疑問視「少しでも思いやりの気持ちを示すべきだった」
元デンマーク代表GKピーター・シュマイケル氏は、MFクリスティアン・エリクセン(インテル)が倒れて一時中断となった欧州選手権(EURO)のフィンランド戦(0-1/現地時間12日)が、その日のうちに再開された件について「思いやりがなかった」と、“無慈悲な”欧州サッカー連盟(UEFA)を批判した。英公共放送「BBC」が報じている。
0-0で迎えた前半40分過ぎ、エリクセンはタッチライン際でスローインを受けようとした場面で、なんの前触れもなくピッチに倒れ、そのまま意識を失った。選手や主審が慌ててメディカルスタッフを呼び込み、そのままピッチ上で心肺蘇生が行われるなどスタジアムは騒然とした。
エリクセンは病院へ救急搬送され、試合は中断。その後、エリクセンが意識を取り戻し、容体が安定したとの情報が入ると、中断からおよそ1時間50分後に試合は再開された。
デンマークは0-1で試合に敗れたが、チームを率いるカスパー・ヒュルマンド監督は「人生で最も大切なことは何か、それは価値のある人間関係を築くことだと気づかされた。我々の選手たちはどれだけ称えても称えきれない。私の大切な友人(エリクセン)が苦しんでいる時に、お互いを気遣い合える彼らのことをこれ以上ないほど誇りに思う」と、精神的ショックを抱えたまま試合再開を受け入れた選手たちの気丈な振る舞いを称賛。しかし、その一方で「感情的に終わってしまった選手もいた」と、本来であればプレーできる状況ではない選手もいたことを認めている。
一時中断となった試合について、UEFAはその日のうちに続行するか、翌日に改めて再開という2つの選択肢を用意していたというが、その判断をデンマーク代表の英雄であるシュマイケル氏は疑問視した。
「彼らは他のシナリオを模索し、少しでも思いやりの気持ちを示すべきだったはずなのに、彼らはそれをしなかった」
シュマイケル氏はエリクセンが倒れてからの時間を、「フットボール人生において最悪の2時間だった」と振り返っている。そんな経験の直後に選手たちがピッチに立つことはできないと、怒りを露わにしている。