「五輪18人枠」に“攻撃的”左SBでアピール 旗手怜央が見せたユーティリティーな才能
ゴールとアシストは記録できずも手応え「僕的には、自分の考え通りに行ったプレー」
東京五輪の最終メンバー発表前、最後の実戦機会となった12日の国際親善試合ジャマイカ代表戦で、MF旗手怜央に与えられたポジションは左サイドバックだった。所属する川崎フロンターレ、そしてU-24日本代表でも左サイドバックに入ることが多くなっている旗手は、「まず自分のやるべきことをしっかりやる。あとは自分のポジションがサイドバックだったので、失点を絶対にしないという思いで試合に入りました」と、試合前の心境を明かした。
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ただし、旗手が狙っていたのは、単に無失点に抑えることではない。自分の持ち味である攻撃力を示したうえで無失点に抑えることだった。「この前の試合だと、中山(雄太)選手がサイドバックで、どちらかというと守備が強い選手です。僕は攻撃で違いを見せないといけなかった。攻撃参加やボールを持った時のパスを、すごく意識していたなかで、最後の試合でした。公式戦のなかで、自分がやりたいことを表現できたのはすごく良かったんじゃないかなと思います」と、手応えを口にした。
実際にこの試合で旗手は、多くのチャンスに絡んでいる。前半20分には、DF吉田麻也からパスを受けると、左サイドに開いたMF三笘薫が作ったスペースに入ったMF久保建英を見逃さずに縦パスをつけた。そこから久保がドリブルで仕掛けて放ったシュートは、ポストに嫌われたが、ゴールになってもおかしくなかった。
また、前半42分にMF遠藤航がゴールを決めた場面でも、ジャマイカが中央を固めたなかでオーバーラップを仕掛け、遠藤のマークの気を逸らせた。このサポートの動きによって、遠藤にシュートコースができている。
この場面について、旗手も「あそこで大外を自分が走れば、ボールを持っている選手の選択肢は2つが3つになる。1つ多く選択肢を選べると思うので、僕自身があそこでボールをもらえればラッキーですし、あれで遠藤選手もゴールを決めてくれたので、あれはあれで僕的には、自分の考え通りに行ったプレーです。あのフリーラン1本で、ああいう形ができたのは僕自身嬉しいというか、良かったです」と手応えを口にした。
ゴールやアシストという明確な結果こそ残すことはできなかった旗手だが、しっかりとアピールし、得点につながる動きを見せた。「僕が持っている力は出し切れたと思います」。後半15分でベンチに退いた旗手の充実した表情が、試合前に掲げたテーマをやり切ったことを物語っていた。
(河合 拓 / Taku Kawai)