ドイツ代表、EURO“死の組”突破へ議論白熱 レーブ監督、MF陣の起用法を巡り反論

MFトニ・クロースとMFヨシュア・キミッヒ【写真:Getty Images】
MFトニ・クロースとMFヨシュア・キミッヒ【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】開幕に向けて賑わうドイツ代表を巡り議論、フォクツはキミッヒのサイド起用を疑問視

 ワールドカップ(W杯)や欧州選手権(EURO)といったビッグトーナメント前になると、メディアは俄然元気になるものだ。それはおそらく、どの国でも共通の現象だろう。

 ドイツも、なんだかんだで賑わっている。ここにきての注目は、中盤センターの組み合わせ。これまでファーストチョイスだと思われていたのはMFヨシュア・キミッヒとMFレオン・ゴレツカの“バイエルンコンビ”だが、ゴレツカがリーグ戦で負傷した太ももの肉離れからまだ復調しきっておらず、キミッヒは問題点だった右ウイングバックへの再コンバートが濃厚とされている。

 EURO前最後のテストマッチとなったラトビア戦ではMFイルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)とMFトニ・クロース(レアル・マドリード)の2人がコンビを組んだ。格下相手に7-1で勝利したドイツだが、この起用法に異を唱えたのが元ドイツ代表監督ベルティ・フォクツだ。

「キミッヒはセンターで起用しなければならない。サイドでは100%の居心地の良さを感じていない。強力なオフェンス陣を揃えたフランス相手に、イルカイ・ギュンドアンとトニ・クロースでは上手くいかない。オフェンシブ過ぎる。キミッヒをボランチで起用しなかったら、我々はフランスにセンターからボロボロにされてしまうだろう」と警告していた。

 言わんとするところは分かる。確かに、どちらも守備で力を発揮する選手ではないかもしれない。それこそフランス代表のMFエンゴロ・カンテのように、単独でボールを奪取することが期待されている選手ではない。

 だが、これに対してヨアヒム・レーブ監督が鋭く反論した。

「選手に対して異なる見解があるというのは新しいことではない。片やその選手の優れたところを口にし、片やその選手の弱さを指摘する。トニ・クロースも今、そうした議論の渦中にいるようだ」

「だが14年W杯の時はどうだっただろう? フィリップ・ラーム、バスティアン・シュバインシュタイガー、ミロスラフ・クローゼも、あの時いろんなことを言われていた。超えてはいけない一線を超えた記事や発言もあった。だが彼らはブラジルで優勝を果たした時に、その能力をいかんなく発揮してくれたではないか」

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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