柴崎岳、レガネス1年目をスペイン人記者が“総括” 「大きな武器の一つになった」

レガネスの地元サポーターロベルトさん【写真: 高橋智行】
レガネスの地元サポーターロベルトさん【写真: 高橋智行】

地元サポーターが語った印象「1部のクオリティーを備えた選手だ」

 しかし、3試合連続フル出場とフィジカルを酷使した後、ミランデス戦で左足大腿部を負傷して第41節マラガ戦(1-0)の欠場を余儀なくされた。長期離脱の懸念があるなか、柴崎はリーグ最終戦の第42節サラゴサ戦(5-0)の後半途中に戦列復帰したが、続くアウェーで行われた1部昇格プレーオフ準決勝第1戦ラージョ・バジェカーノ戦(0-3)、ガリタノ監督が「サラゴサ戦でフィジカル面に問題があったためメンバー外になった。回復するのが困難だった」と説明した通り、ベンチ入りできず、チームも惨敗を喫し、わずか1年で1部に返り咲くことがかなり難しい状況となった。

 そして3日後の6日、ホームにラージョを迎えての第2戦、レガネスにとって新型コロナウイルスの感染拡大後、最初の有観客試合となったため、観戦に訪れたサポーターが選手たちを乗せたバスをチームカラーの青色の発煙筒と熱い声援で迎え入れた。

 その場に駆けつけたサポーターの1人であるロベルトさんは試合前、今季の柴崎の印象を次のように語ってくれた。

「ガクは本当に素晴らしかったよ。中盤でのプレーのクオリティーは高かったし、何よりもゲームの流れを読む能力が優れている。レガネスは今季、マルティとガリタノ指揮下でフィジカル面の弱さが目立っていたが、ガクのフィジカル面は素晴らしかったし、チームでも際立つ1人だった。1部のクオリティーを備えた選手だと思う」と大絶賛した。

 しかし試合前日の記者会見でガリタノが明かした通り、柴崎は再び怪我の回復が間に合わず、2戦連続でスタンド観戦を余儀なくされた。

 チームは3点を追う苦しい状況のなか、会場に駆けつけた1500人のサポーターの熱狂的な応援を受け、前半11分に先制し良い形で試合をスタートしたが、その後、チャンスを生かせなかった。後半に2点を奪われ1-2の逆転負けを喫し、1部復帰の夢がこの日潰えたのと同時に、柴崎の今季も終了した。

 レガネスにとって悪夢となった試合を取材したスペインの通信社「EFE通信」のカルロス・マテオス・ヒル記者に試合後、次のように話を聞いた。

 まずレガネスの1部昇格が叶わなかったことについて、「今季は上位2チーム(エスパニョールとマジョルカ)が例年に比べ突出していた特異なシーズンだったし、レガネスのパフォーマンスは良かったが、チャンスがあった時に生かすことができなかった」と、取りこぼしがあったために自動昇格圏内に入れなかったことを強調した。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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