柴崎岳、レガネス1年目をスペイン人記者が“総括” 「大きな武器の一つになった」
【スペイン発コラム】昇格プレーオフは負傷により欠場、1部復帰を逃す
リーガ・エスパニョーラ1部昇格プレーオフ準決勝の第2戦が6日に行われ、MF柴崎岳が所属するレガネスは2戦合計1-5でラージョ・バジェカーノに敗れた。これで柴崎のレガネス1年目は終了。今季の2部リーグ成績は34試合(先発24試合)、2196分間出場、2得点3アシストとなっている。
昨季、デポルティボ・ラ・コルーニャで3部降格の憂き目に遭った柴崎は今季、スペイン2部のレガネスと2023年6月30日までの3年契約を結んだ。
指揮官が元日本代表監督のハビエル・アギーレから、柴崎がスペインに初挑戦したテネリフェ時代 (2016-17シーズン) の恩師であるホセ・ルイス・マルティに代わったなか、柴崎は初の先発出場となった第2節ルーゴ戦で負傷交代を余儀なくされるアクシデントはあったが、その後は順風満帆だった。
テネリフェの時と同じように監督の信頼を得た柴崎は、日本代表招集により2カ月続けてチームを離れる期間はあったが、チームでも安定したパフォーマンスを披露する1人となり、ポジション争いでルイス・ペレアに勝利してレギュラーの座を掴み、ルベン・ペレスと4-4-2のダブルボランチを形成した。第8節オビエド戦(2-1)でレガネスでの初得点を記録し、2020年に行われたリーグ19試合中11試合に先発出場している(2試合は代表参加で欠場)。
しかしチームは12月に入り、第17節テネリフェ戦(0-0)から未勝利が続き、1年での1部復帰に暗雲が立ち込める。第22節ラス・パルマス戦(1-2)に敗れて5戦連続未勝利となり、順位を6位まで落としたことが決定打となり、1月26日にマルティが解任された。
このことは柴崎の状況を一変させる。新監督は2シーズン半ぶりにレガネス監督に復帰したアシエル・ガリタノ。マルティ更迭前までリーグ5試合連続で先発出場していた柴崎であったが、ボランチの組み合わせが変更されたためレギュラーの座を失うことになった。
チームは監督交代を機に5連勝を達成して調子を取り戻し始めたなか、柴崎はガリタノ指揮下4試合目となった平日開催のアルメリア戦(1-1)で初スタメン。3試合連続で先発出場するも、際立つパフォーマンスを見せられなかった。それ以降、ルベン・パルドが重用されたことやシステム変更があり、3試合続けて出番がない時期を過ごすも、第36節アルコルコン戦(2-1)で1得点1アシストを記録し、今季最高のゲームの一つをやり遂げると、最終的にセットプレーのキッカーを任され、第40節ミランデス戦(0-0)まで5試合連続で先発出場するまでに監督の信頼を得ていた。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。