「緊張感の連続だった」 韓国代表DFが語る中国強豪での日々「お金がすべてではない」
Jリーグと中国リーグを比較すると、プレー面での「環境は日本のほうが良い」
数々の補強を繰り返しながら、広州恒大は2011年から17年まで中国スーパーリーグ史上初の7連覇を達成。キム・ヨングォンも在籍期間中に5回のリーグ優勝を経験し、13年と15年にはACLを制覇している。
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「リーグでの優勝もそうですが、やはりACLで初めて優勝した時の13年がとても記憶に残っています。中国リーグから出場したチームのなかで初めてACLを制覇して、広州というチームをアジアに広く知ってもらうことができましたからね。チームの雰囲気はとても良かった」
15年のクラブ・ワールドカップ(W杯)準決勝ではバルセロナとも対戦(0-3)しているが、「ハットトリックを決められた(ルイス・)スアレスのプレーはとても印象に残っています。敗れたのは悔しいですが、世界最高の選手たちとの対戦はとてもいい経験になりました。(アンドレス・)イニエスタもいましたからね。当時はまさかJリーグに来るなんて、思ってもいませんでしたよ」と振り返る。
中国では“常勝軍団”でプレーし、アジアナンバーワンの主力であるというプライドもあった。一つ聞きたかったのが、Jリーグと比較した場合の“違い”についてだ。
「サッカー的な部分で言うと、やはり環境は日本のほうが良いとは感じます。というのも、中国は面積が広いので、アウェーへの移動も飛行機で何時間もかかる場所にあります。日本は比較的、移動距離が短いので、そういう部分で日本に比べるとコンディションを整えるのが難しかったです」
選手のレベルや質、サッカーへの理解度はどうか。
「広州にいた選手に関して言えば、サッカーに対してとても情熱のある選手ばかりでした。それに能力も高い選手が多くて、もちろん海外でも通用するという選手もいました。チームのために犠牲になり、貢献するというマインドも持っている。そうでないと、リーグを何連覇もできませんよ」
しかし、中国のクラブチームがアジアの頂点に立つようになったとはいえ、代表では結果を残せていない。W杯での実績でも日本や韓国の後塵を拝しているのはなぜなのかを聞いてみたが、「私が代表監督でもなく、中のことを知っているわけではないので、その理由を明確に話すことはできませんよ。確かなのは一人ひとりの素質は高いということ。上手く噛み合えば強豪国になる可能性はあります」と苦笑いを浮かべた。
金 明昱
1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。