「必ず次につながる」 震災から1カ月、止まっていた時計の針が動き出した、熊本の今季2度目の開幕戦
ロアッソ熊本今季2度目の開幕戦は、元日本代表・巻誠一郎の古巣・千葉
快晴のフクダ電子アリーナに訪れたサポーターの数は1万4163人。この観客数は開幕戦の1万2063人を超す今季最多だった。
5月15日、奇しくも今から23年前、Jリーグが開幕した「Jリーグの日」は、ロアッソ熊本にとって“今季”2度目の開幕を迎える日となった。
今から約1カ月前の4月14日21時26分、熊本県で起きたM6.5、震度7、死者49名、1500名近く(※5月15日現在)の負傷者を出した震災が起きた。その日以降、止まっていた時計の針がまた、ようやく動き出した。
自分の家に、立ち入り禁止を意味する赤紙が張られ、サッカーどころではなく車で寝泊まりする選手もいた。それでも、少しでも地元の人々を元気づけようとしてピッチ外を走り回り、物資を届けたり、サッカー教室を開催する選手たちもいた。
この1カ月、自分たちのサッカーどころではないはずだった。しかし、さまざまな人々の協力を受けて、ロアッソ熊本は再びピッチに戻ることができたのだ。
試合開始前、スターティングメンバーにロアッソ熊本のFW巻誠一郎の名前が紹介されると、スタジアムにはこの日の一番の声援が響き渡った。熊本出身で、かつてジェフ千葉の黄色いユニフォームをまとい、前線から必死で相手を追い、高い打点を武器に強かった時代のジェフ千葉を支えていた男の、この1カ月の苦労と献身的な復興支援活動を誰もが知っていたのだろう。