「代えがきかない存在」と“兄弟対決”で証明 A代表で「輝いた3人」を金田喜稔が選出
得点シーンに表れていた鎌田のシュート意識の高さ
そして金田氏が2人目に名前を挙げたのは、前半41分にチーム2点目を決めた鎌田だ。「ゴール前での落ち着き、選択肢の多さ、視野の広さ、テクニックの上手さ。総合力で、今の日本代表で代えがきかない存在であることを証明している」と絶賛。得点シーンでは橋本からの前線へのロングパスを南野がヘディングで落とすと、鎌田が巧みなトラップから切り返し左足を振り抜いて決めたが、金田氏は淀みのない動きに見えた“シュート意識の高さ”を評価する。
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「ミャンマー戦の後に、鎌田にはもっと強引でもいいからシュートを狙ってほしいと要求したが、この試合では見事にそうした意識を示してくれた。おそらく布石となったのは、得点シーンの数分前に相手に当たって枠には飛ばなかったものの、鎌田がミドルを狙ったシーンだろう。シュートへの意欲を示していたからこそ、得点の場面でも南野からボールが落とされた瞬間に、明らかにフィニッシュへのイメージを描いてトラップしている。ファーストタッチからシュートを最優先する精神状態になっていたからこそであり、これは今後も続けてほしいプレーだ」
さらに金田氏は、守備時にMF久保建英(ヘタフェ)に見せた厳しいプレスバックにも注目。「久保にチャンスを作らせると怖いというのは、A代表の選手が共通認識で持っていたはず。そのなかで鎌田は自分のポジション(トップ下)を争うライバルと見たのか、猛然とボールを奪いに行っていた」と、守備面でも「見事だった」と称えた。
そして最後の1人として挙げたのは、後半開始から途中出場したFW浅野だ。“ジョーカー”として3点目をきっちりと奪ったことを評価するとともに、「あのスピード、途中から入ってくる凄さを見せつけた」と改めて感嘆。「低い位置から飛び出しても、相手最終ラインの背後へ出たボールに追いつく。(1トップのレギュラーである)大迫とタイプの異なる選手がトップにいるというのは、チームの戦いの幅を広げるうえでも大きい」と、浅野の持つスペシャルな能力は難敵との戦いとなるW杯アジア最終予選を見据えても、重要な戦力になると評価していた。
[PROFILE]
金田喜稔(かねだ・のぶとし)
1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。
(FOOTBALL ZONE編集部・谷沢直也 / Naoya Tanizawa)