久保の苦心する姿に「逆に凄さを感じた」 U-24代表で「輝いた3人」を金田喜稔が選出
闘志あふれるFW林のプレーを評価「相手と競り合った際の体の預け方も上手い」
そして金田氏が印象に残った選手として、2人目に名前を挙げたのが後半12分からピッチに投入されたFW林大地(サガン鳥栖)だ。OAが招集されなかったFW陣で、東京五輪に向けて誰が軸となるのか――。国内組のストライカー同士で激しいサバイバルが繰り広げられるなか、金田氏は「上田(綺世/鹿島アントラーズ)、前田(大然/横浜F・マリノス)、田川(亨介/FC東京)と競って自分が生き残るんだというプレーぶりは、森保監督などコーチ陣にも伝わっているはず」と、林が限られた時間のなかで見せた闘志を評価する。
「全面的に気持ちが出せるFWだ。球際で戦って点を取りに行く、ギリギリのところで体を張ってダイビングヘッドを狙ったり、決して褒められた振る舞いではないにしてもレフェリーに対するアクションも含めて、勝負にこだわる姿勢を見せていた」
ストライカーとしては身長178センチと恵まれた体躯を持つわけではないが、「持って生まれたガツンガツンといける体の軸の強さを林にはすごく感じる。相手と競り合った際の体の預け方も上手い」と称えた金田氏。メンタル面で前線からチーム全体を鼓舞できる選手として、短期決戦の東京五輪に向けて面白い存在だと語っていた。
そして最後に挙げた1人は、「五輪世代ではないが、この試合でのインパクトという意味では抜群だった」と振り返った、OA招集のMF遠藤航(シュツットガルト)だった。0-3で迎えた後半33分から投入されると、持ち前の球際の強さと配球で一気に流れをU-24代表に引き寄せた。
「もちろん、3点をリードしていたA代表が守りを固めて試合を終わらせにきた時間帯であり、中盤へのプレッシャーも緩んだ時間帯だった。それでも遠藤航が入ってから、コンビを組んだ田中碧(川崎フロンターレ)が輝き、彼のフィード能力も生きてきた。パートナーとの関係性を瞬時に判断し、良さを引き出すのは、やはり遠藤航の経験値から来るものなのだろう」
A代表との差を痛感させられた一戦で、最も際立ったと言えるOAの存在感の大きさ。DF吉田麻也(サンプドリア)、DF酒井宏樹(マルセイユ→未定)も実戦投入された時、U-24代表にはどんな化学反応が起こるのか。「18人枠」を巡り激しさを増す最終選考の行方とともに、OAがチームにもたらす影響力はU-24ガーナ代表戦(5日)、ジャマイカ代表戦(12日)での大きな見どころになるはずだ。
[PROFILE]
金田喜稔(かねだ・のぶとし)
1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。
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(FOOTBALL ZONE編集部・谷沢直也 / Naoya Tanizawa)