ファンが今最も見たいのは「川崎対日本代表」? 36年前の同胞対決と“トラウマ”
当時の読売は現在なら川崎のような存在
破竹の勢いにあった読売は、現在なら川崎フロンターレのような存在だ。技巧的なプレースタイル、いち早く選手のプロ化も進めていて、当時は異端と見られていた。協会と対立とまではいかないが、日本サッカーの状況に批判的で独自路線を採っていた。
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試合は白熱した。どちらにもチャンスはあったが、戸塚のゴールが決勝点となった。この頃の戸塚は代表を辞退して読売に専念していた。後に与那城とともに代表復帰するのだが、当時の日本代表での活動に魅力と意義を見出していなかった。日本代表のステータスは地に落ちていて、ここから盛り返しの機運を見せていくのだが、その出鼻を挫かれるような試合になってしまった。
日本代表にとっては屈辱的な敗戦。代表への思い入れが深かった加藤、松木、都並の思いは複雑だったに違いない。協会にとってはトラウマになった一戦と言っていい。
もしかしたら、川崎フロンターレvs日本代表はファンが最も見たい試合かもしれないが、それが実現することはないだろう。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。