”イタリア版レスター”に奇跡は起こるか サッスオーロ監督が伊杯決勝でミラン敗退を熱望する理由
特急も止まらない人口約4万人の地方クラブの大躍進 伊杯でユーベ優勝ならEL出場権を獲得
イタリアで大躍進のシーズンを終えたサッスオーロの名将が、来季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場へ向けてイタリア杯決勝でのACミランの敗北を熱望している。イタリア衛星放送局「スカイ・スポーツ」のインタビューに応じたエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督は、「ユベントスを応援しないと言えば、私は偽善者だ」と語っている。
イタリア中部に位置するサッスオーロは、人口約4万人。ユーロスターはもちろんのこと、国内の急行列車すら停車しない小さな自治体だ。本拠地のスタディオ・マペイの収容人員は2万3000人ほどしかない。しかし、智将に率いられたそのプロビンチアの集団が、ヨーロッパに打って出る可能性を残している。14日のリーグ最終節は、本拠地で日本代表DF長友佑都が所属するインテルを撃破。ローマに1-3で敗れた日本代表FW本田圭佑が所属するACミランを尻目に、6位の座を確保した。小さな町の小さなクラブの躍進は、123年の歴史で今季プレミアリーグ初優勝を果たした奇跡に重ねられ、「イタリアのレスター」と呼ばれている。
イタリアにおけるUEFAヨーロッパリーグ(EL)の出場権は、リーグ4位と5位に加えてイタリア杯の優勝チームの合計3チームに与えられる。通常であれば6位のサッスオーロに権利はないが、イタリア杯の決勝がすでにUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を持つユベントスと7位ACミランの対戦であることが重要な要素になる。ミランが優勝すればELの権利はミランのものだが、ユベントスが優勝した場合はCLとELの権利が重なるため、ELの権利がリーグ6位のチームに移動する。
つまり、ユベントスが優勝すればサッスオーロは来季のELに出場することができる。現役時代にローマで元日本代表MF中田英寿とともにプレーしてスクデットを獲得した経験も持つディ・フランチェスコ監督は、ヨーロッパ行きを熱望している。