東京五輪“最終選考”に影響? U-24代表、異例「兄弟対決」の注目は“中1日”の起用法

東京五輪に向けた最後のサバイバルにあるU-24日本代表【写真:Getty Images & Yukihito Taguchi】
東京五輪に向けた最後のサバイバルにあるU-24日本代表【写真:Getty Images & Yukihito Taguchi】

ジャマイカ戦の中止により急きょA代表とU-24代表が札幌で激突

 日本代表が東京五輪に向けた最後のサバイバルにあるU-24日本代表と対戦する。漫画の世界でしかなかなか起こり得ないようなカードが、メディアにリリースされたのは6月1日の12時過ぎ。3日に予定されていたジャマイカ戦の中止が伝えられてから、ほぼ1時間後だった。

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 同じ札幌ドームで同じ日時、しかも同じ局で中継されるということもあり、東京五輪への体裁も含めて、うがった見方が出てくるのは当然だが、緊急のブリーフィングに応じた日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長によると、このプランそのものは反町康治技術委員長を含む現場サイドから提案されたものだという。

 そうした説明を踏まえて、外側として事情説明の本音と建前をどう捉えるかはそれぞれの判断になるが、本来の「キリンチャレンジカップ2021」という冠を外したチャンリティーマッチ(いわゆる投げ銭方式で募金活動を行い、医療従事者等の活動に寄付される)で開催される運びになったメリットを考えてみたい。

 まずジャマイカ戦が中止になってしまった経緯としては、当初20人が日本に向かう予定だったが、ジャマイカ本国や北米のMLSなどでプレーする10人は無事に到着したものの、欧州側から向かうはずだった10人が新型コロナウイルスの陰性を証明する書類に不備があり、現地の税関を予定時刻に通過できなかったということだ。

 その連絡をJFAが受け取ったのは30日の夜で、当然チャーター便も含めた対応が検討されたものの、間に合う手段がなかったという。そうした事情が現場サイドにも伝えられたなかで、反町委員長や森保一監督、U-24代表の監督を務める横内昭展コーチがジャマイカ戦中止の際の対応を話し合い、このプランが持ち上がったということだ。

 プラン実現にあたり一つ大きかったのが、もともとA代表は6月1日午前にチャーター便で新千歳空港に飛ぶことが決まっていたことだ。A代表とU-24代表は活動こそ異なるものの、同じ宿舎、同じグラウンドで活動していたため、そのまま一緒に移動してしまうことが可能になった。

 もう一つはU-24代表が東京五輪への最終選考を目的としているため、27人というラージグループであったことも大きい。やはりU-24代表の活動で懸念されるのは、5日に福岡で国際親善試合のU-24ガーナ戦が組まれており、A代表との試合から移動も含めて中1日になってしまうことだ。

 しかし、オーバーエイジとしてU-24日本代表に参加しているMF遠藤航(シュツットガルト)は、「2チーム分あるので、中1日でもメンバーを変えれば問題なくできますし、最終選考という意味でも、1試合多くなって全員が出られることはポジティブ」と語る。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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