日本代表と五輪世代の対決は“禁断のマッチメーク” 封印のきっかけとなった苦い記憶
時代が変わった今は、むしろ格好の強化試合になる
それから31年を経て、東日本大震災復興支援のチャリティーマッチでは、日本代表がJリーグ選抜と対戦し、2-1で勝利している。ファンの気質も認識も変わり、カズのゴールも飛び出してファンは心置きなく楽しんでいた。
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キリンカップは、日本代表が読売クラブに敗れたのを機に、国内からは他のチームの参加を見送ることになり、1992年からはAマッチ限定に変わった。アマチュア時代の日本代表は、文字通り不遇だった。しかも当時は、読売と日産の二強時代。選手層が薄く、読売勢が抜ければ致命傷になった。
だが現在は、日本代表も五輪候補も、当時とは比較にならないほど選択肢が広がっている。両チームの実情も周知されており、どちらが勝っても深く傷つくことはなく、むしろ格好の強化試合になりそうである。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)
加部 究
かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。