CL決勝のレフェリーは「真のスター」 正当な”判定シーン”に海外メディア喝采
スペイン人のマテュー・ラホス主審が下した"PKなし"の判断に海外注目
2020-21シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)は、チェルシーの9季ぶり2度目の大会制覇で幕を閉じた。マンチェスター・シティとの決勝戦の笛を吹いたスペイン人のマテュー・ラホス主審は終始冷静なジャッジで試合を進め、その的確な振る舞いに海外メディアは喝采を送っている。
【PR】ABEMA de DAZNでラ・リーガの久保建英など欧州サッカーの注目試合ハイライトを全試合無料配信!‘;
イングランド勢対決となった今季のCL決勝戦は当初、トルコのイスタンブールで開催される予定だったが、英国政府がトルコを新型コロナウイルスの感染レッドリストに追加。その影響から開催地をポルトガルのポルト(エスタディオ・ド・ドラゴン)に変更して行われた。
試合は前半42分、チェルシーのイングランド代表MFメイソン・マウントからのスルーパスをドイツ代表MFカイ・ハフェルツが決めて先制する。対するシティは、攻撃を司るベルギー代表MFケビン・デ・ブライネが負傷交代した影響もあり、チェルシーの強固な守備組織を前に苦戦。結局、1-0のままスコアは動かずタイムアップとなった。
試合後、海外メディアではチェルシーの面々にスポットライトが当てられるとともに、この試合を裁いたラホス主審にも脚光を当てている。同主審は終始冷静なジャッジを下し、とりわけ注目されているのが後半15分のワンシーンに対する判定だった。
シティが敵陣ゴール前へと攻め込んでいた場面で、イングランド代表FWラヒーム・スターリングが放ったシュートがペナルティーエリア内にいたチェルシーDFリース・ジェームズの腕付近へと直撃。シティの選手たちはPK判定をアピールするも、ラホス主審はボールが自分の体に跳ね返ったあとに腕に当たったと即座に主張し試合を続行させた。
微妙な判定だったがその後、改めてVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入した後、ノーファウルと判定されていたが、このシーンに対しスペイン紙「AS」は、レフェリーアナリストであるイトゥラルデ・ゴンサレス氏の見解を掲載し「この場合は腕が自然な位置にある。ジェームズのペナルティーではなかった」と正当性を示している。
ラホス主審の的確な判定と毅然とした対応について、「AS」紙は別の記事で「発生したすべてのプレーを見事に解決し、VARの助けを借りることなく、ジェームズの手によるペナルティーはなかったという裁定を下し、見事に決勝戦を乗り越えた。国内レベルでは批判を受けているが、国際的な名声の高さを際立たせるパフォーマンスである」と賛辞を送っている。
また、アイルランドメディア「Balls.ie」も「チャンピオンズリーグ決勝戦の真のスターはレフェリーだった」と見出しを打ち「(チェルシーの)エンゴロ・カンテとアントニオ・リュディガーの2人が大きく評価されたが、もっと評価されてもいいと思う影のヒーローがいた――マテュー・ラホス主審だ。ラホスの熟練したレフェリングもまた、観戦しているファンの注目を集めることになった。彼と彼の審判チームは厳格な運営を行い、重大な決定をめぐる論争や遅延はほとんどなかった」と、喝采を送っていた。
「AS」紙によると、CL決勝戦でのジャッジで評価を高めたラホス主審は、6月に開幕の欧州選手権(EURO)でも試合を裁く予定だとされており、そのジャッジが改めて注目を浴びるかもしれない。