細身の“魔術師”を変えた12年前の転機 スコットランド弱小クラブでの苦い体験とは?
ユースチームの強い当たりに「一体何度転んだことか…」
ところが、フランスからやってきた細身のアルジェリア人少年に対し、スコットランドのフィジカルなサッカーに揉まれたユースチームの選手たちは、すぐに強い当たりを繰り出すようになったという。
「あの時点でも、彼(マフレズ)が何か“特別なもの”を持っていたのは分かりましたが、常に当たり負けしてしまう。一体何度転んだことか分かりません」
ロングウェル氏はそう語って、マフレズのトライアル落選を振り返った。
しかし、この時の体験がマフレズにとっても大きな転換期になったようだ。マンチェスター・シティ移籍後、フランスの「レキップ」紙に語ったインタビューで、マフレズはスコットランドの冬の天気には「辟易とした」と語っているが、セント・ミレンのトライアルを終えてフランスに帰ると「フィジカルが向上して自分の動きが見違えた。あの時の体験が今の自分につながっていると思う」と発言。スコットランドで当たり負けし、何度も転がされた体験が、後の“スーパー・マフレズ”を生み出したと話している。
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(森 昌利 / Masatoshi Mori)
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。