英メディア注目のトッテナム監督人事 宮市亮をかつて指導した“策士”に期待する理由
【英国発“ゴシップ”斜め読み】名将モウリーニョの後任人事の行方は? 英メディアの報道が過熱
監督人事は常に大きなニュースであり、それがトッテナムともなれば全世界的な注目を集める。しかも、名将ジョゼ・モウリーニョが去って1カ月が過ぎ、生え抜きエースで主将でもあるハリー・ケインが移籍希望と報じられる今、その空席を埋めるのは誰なのか――英メディアの注視が集まるのも仕方がない。
23日に今季のプレミアリーグが終了して区切りがついたことで、今週からは連日のようにトッテナムの監督人事ネタが出るだろうと思っていたら、今日はもう二発。一つは英大衆紙「ザ・サン」で、なんと“ウルトラC”的にパリ・サンジェルマン(PSG)監督のマウリシオ・ポチェッティーノの出戻り就任を伝えた。
論理としては(1)ダニエル・レヴィ会長が友人に「ポチェティーノの解任は自分の失敗だった」と認めたと話しており、再起用に乗り気(2)UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝でマンチェスター・シティに敗れ、リーグ・アンの優勝も逃したポチェッティーノがすでにPSGの監督生活に嫌気をさしている&トッテナムには“やり残した”という思いが強い――ということだ。
またケインとの関係が良好と伝えられるポチェッティーノが復帰すれば、27歳エースの残留説得に向けて大きな力になるという。
ちなみに、トッテナムは来季のユニフォーム発表でケインの写真も含ませ、移籍阻止の構えを明確にして徹底抗戦の構え。「ザ・サン」によると、この写真撮影は移籍希望報道が流れる以前に行われたというが、果たして主将の引き留めとの一石二鳥を狙ったポチェッティーノの復帰は本当にあるのだろうか。
そして同日、「スカイ・スポーツ」がレポートしたのが、元エバートン監督で現ベルギー代表監督のロベルト・マルティネスの就任だ。トッテナム側がモウリーニョの後継候補者として、獲得の準備を進めているという。
なるほど、これも悪くはないアイデアだ。確かにウィガン、エバートンでは期待に沿う成績は収められなかったが、スペイン人らしい戦略家。ウィガン時代には当時のプレミアでは本当に珍しかった3バックをいち早く採用し、トップ下を置いて、中盤と最前線を連係させようと試みたが、残念ながらプレミア下部クラブに所属していた選手たちの戦略対応力と実質的なクオリティーが欠けて、策士が狙ったサッカーが上手く機能しなかった。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。