コロナ21人陽性でGK不在 緊急事態の南米名門、35歳MFが守護神を務め奇跡の勝利
リーベルでクラスター発生…ベンチメンバー不在の11人、MFペレスが代役GKを務め2-1と勝利
アルゼンチンの名門リーベル・プレートはチーム内での新型コロナウイルス感染拡大を受けて、現地時間19日のコパ・リベルタドーレス第5節サンタ・フェ戦でベンチメンバー不在の11人だけで試合に臨んだ。本職のGK不在という異常事態の中で2-1の勝利を収め、ゴールマウスを守った35歳の元アルゼンチン代表MFエンソ・ペレスの奮闘が反響を呼んでいる。
依然として猛威を振るう新型コロナウイルスの脅威がリーベルを襲った。試合前日の時点で21名の陽性者が出ており、チームは半壊状態。南米サッカー連盟(CONMEBOL)は最大50名まで選手登録を可能にしているが、リーベルは32名しか登録しておらず、結果として試合に出場できるのは11人のみ。ベンチメンバーなしで試合に臨むことになった。
選手交代ができないうえに、GKは登録の4人が全員感染。苦肉の策でアルゼンチン代表としてワールドカップ出場経験もあるベテランMFペレスにゴールマウスを託した。ただし、そのペレスも負傷を抱え、フィールドプレーヤーとしてはプレーが難しい状況だったようだ。
満身創痍でコロンビアのサンタ・フェに挑んだリーベルだったが、前半3分と6分に立て続けに得点を奪ってリードすると、失点を1に抑えて2-1で勝利を収めたのだ。データ会社「オプタ」のスタッツによれば、GKとしてのペレスは4つのセーブを記録。これは今季のコパ・リベルタドーレスの1試合あたりの記録としてはチーム最多の数字だったという。
大会公式ツイッターは、ペレスのプレーハイライト動画を公開。「リーベル・プレートとエンソ・ペレスにとって忘れられない夜になった」として、不慣れなポジションで先発フル出場したベテランMFのプレーにスポットライトを当てた。「BBC」や「テレグラフ」など英国の大手メディアでも取り上げられるなど、大きな反響を呼んでいる。
ペレスは試合後のインタビューでGKコーチと一緒に練習し、アドバイスを受けて試合に臨んだことを明かしている。当然、ポジショニングには不安があったなかで「常にペナルティースポットを基準にしていた」と異例のコンバートについて振り返った。
豊富な経験を持つペレスにとっても、印象深い試合となったはずだ。