【月間表彰】「苦を感じたことはない」 福西崇史×前田大然対談…驚異的“スプリント力”の秘訣とは?
札幌戦でダイビングヘッド弾「泥臭いプレーや頭から突っ込めるのは強み」
福西 今回、前田選手の特徴が出た場面として、札幌戦のゴールシーンを挙げさせてもらいました。このシーンはサイドにボールが行った時、前田選手はどのようなことを考えてゴール前に行ったのでしょうか。
前田 クロスを上げたのは、(水沼)宏太くんだったのですが、本当にいつも良いボールが来るので、信じてゴール前に入るだけでした。
福西 クロスを上げてくる時にDFが3人いました。どこに走り込むかは、ボールを見てからの判断になるのですか?
前田 宏太くんがトラップした時、自分がボールに触れなくてもいいからニアに入ろうと思っていました。後ろに流れたら、この時は誰もいなかったと思いますが、チームの約束事として、前の選手がニアに入っていくことは徹底されているので、それが上手くできたかなと思います。監督からは、サイドにボールが展開されたらニアとファーにしっかり入ることを求められていて、あそこにパスが出て、ゴール前で誰も触らなかったら「中の選手が悪い」と言われる。それくらいチームとして、ニアとファーに入ることは徹底していますね。シュートについては、練習の時から良いボールが来るので、あとは本当に当てるだけという感じでやっています。
福西 それでも、ヘディングの上手さも際立っています。この時はボールを見ながら、GKの位置を見て、ヘディングを飛ばすところも確認していましたか?
前田 そんなに見ていないですね。ニアに当てるか、ファーに当てるかということしか考えず、ファーを選択した形です。
福西 ヘディングが上手いのですが、得意なのですか?
前田 髪の毛がないぶん、そこしか取り柄がないと思ってます(笑)。でも、当てるだけっていう感じですね。こういうシュートの時は、当てるだけでGKもたぶん取れないと思うので、速いボールにはとにかくしっかり当てることだけを意識しています。
福西 今シーズンは、得点も取れてきています。得点への意識も高まってきていますか?
前田 今までもゴールにこだわりがありましたが、今年は、より点を取れているぶん、こだわるようになってきました。
福西 今シーズンを迎えるにあたって、何か良いイメージはあったのですか?
前田 今年はキャンプからセンターフォワードをやらせてもらうようになって、自分のなかでもセンターフォワードで試合に出たら点を取らないといけないと思っていました。そこが上手くできているのかなと思います。
福西 同じポジションにはライバルもたくさんいます。前田選手は身長がないぶん、高さの勝負は難しいですが、そのなかで、自分が勝てるストロングポイントは、どこだと考えていますか?
前田 もちろん、スピードは自分のストロングポイントですが、泥臭いプレーであったり、そこに突っ込むかどうかであったり、というところに、頭から突っ込めると思っているので、そこが強みかなと思っています。
福西 足で行くところを頭で行っているような場面も見るのですが、より頭のほうが確実だと?
前田 頭のほうが確実ですね。利き足が頭じゃないかっていうくらいです(笑)。足でいけるところでも、自然と頭が出ているので。利き足が頭みたいなものです(笑)。
福西 そのヘディングを生かすためにも、マークを外すことが重要になると思いますが、ディフェンスとの駆け引きはどんなことを考えてやっていますか?
前田 一瞬のスピードがあるぶん、一回ニアに入ってファーに逃げたら、相手は追いつけないと思うので、本当に一瞬のスピードで相手を振り切ることを意識します。
福西 オフサイドになることも多いと思いますが、そこについては「別にいいよ」という考えですか?
前田 もちろん、オフサイドにならないことが一番良いとは思うのですが、最終ラインの裏を狙う動きを繰り返すことで、DFも嫌がると思っています。
福西 あれはかなり嫌だと思いますよ。
前田 はい。だからオフサイドになっても、何度でも狙おうとは思っています。