英国で「フットボールは格闘技」と言うけれど… プレミア選手、路上での暴力事件に唖然
【英国発“ゴシップ”斜め読み】シェフィールドFWマクバーニーが殴る蹴るの暴力事件を起こして物議
酒とフットボールと喧嘩――。これは英国男子の3点セットのようなものである。
世界的に悪名高いフーリガン問題ではあるが、英国に4半世紀以上も暮らしていると、これもなかなかなくならないだろうと思う。
元々英国でフットボールは、ラグビーと同じ競技(スポーツという言葉を使うと感じが出ない)で、ボールを奪い合う際に激しい接触があるのは“当然”である。そこには近代的なスポーツというものではなく、「ボールを使った格闘技」という認識がある。だから、英国男子が“フットボール”と口にする時、瞬間的に口の中が沸騰しているのではないか、というような感覚が伝わってくるのだ。
このあたりについて詳細に書き記してしまうと、それだけで一冊の本になるほどの言葉を費やしてしまいそうなので、このくらいにしておくが、ともかく、発祥国だからこそ、英国のフットボールには原始の記憶が残り、確かにルールはあるが、“ボールを使った喧嘩”のような一面が今も残っているのは否めない。
当然ながら、プレーする選手にも、フィフティー・フィフティーのルーズボールに突っ込む勇気の根源に、ある意味”喧嘩上等”という性格が多少なりとも求められる。
まあ正直、この国におけるフットボールは暴力衝動が許容される、まだまだ荒っぽいところが残る競技なのだ。
だからと言って、もちろん暴力はいけない。いけないのだが、こんなことが起こってしまっても、イングランドだからあり得るという気持ちになってしまう事件が起こった。
なんとプレミアリーグ(早々と降格してしまったので、来季は英2部相当のチャンピオンシップ所属となるが)のシェフィールド・ユナイテッドに所属する選手が、街のごろつきも顔負けの暴力事件を引き起こしてしまったのである。
しかもスマホが普及したこのご時世、そのまさに殴る蹴るの狼藉(ろうぜき)を録画されてしまったのだからたまらない。
英大衆紙「ザ・サン」が掲載した記事によると、この問題の選手はシェフィールドのナンバー9、オリバー・マクバーニー。スコットランド代表FWとしても16キャップの選手で、今季もしっかり23試合に出場している、立派な1軍選手だ。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。