「高級車が買えるぐらいの金額に…」 遠藤航のマウスピース製作秘話を担当医が告白
マウスピース着用を勧めたシュツットガルト在住の日本人医師を独紙が取材
今季序盤からデュエル勝利数でリーグトップの座を守り続けているシュツットガルトの日本代表MF遠藤航に対するドイツメディアの評価が高まるなか、同選手が試合中に着用しているマウスピースにも注目が集まっている。ドイツ紙「ビルト」は、遠藤のマウスピースを製作しているシュツットガルト在住の歯科医師・宮川順充(みやかわ・ゆきみつ)氏へのインタビュー記事を掲載し、マウスピース製作の裏側を紹介している。
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2019年夏にベルギーのシント=トロイデンから1年間の期限付き移籍でシュツットガルトに加入した遠藤が、歯の矯正器具着用のために宮川医師の歯科医院を訪ねた際、「マウスピースがサッカーのパフォーマンス向上に繋がる」と勧められたことが着用するきっかけだったという。
「マウスピースの一番の役割はもちろん歯の保護ですが、脳を守ることにも役立ちます。個人差はありますが、重量挙げの選手のパフォーマンスがマウスピースの着用によって向上するのと同じことがサッカー選手にも言えます」とマウスピースがもたらす効果を解説する宮川医師は、遠藤のために完全オーダーメイドでマウスピースを作っている。
当初はマウスピースの素材として一般的なゴム製のものを使用していたが、この素材では歯と脳を完全に保護することができないとして改良を重ね、カーボンファイバーとポリアミド系樹脂ケブラーを合成した特殊素材を使用。形状も車の安全装置にヒントを得た特殊な形になっていて、空中戦での競り合いの際などに相手選手の肘が口に当たっても、衝撃を分散して歯と脳への影響を軽減できる仕組みになっているという。
製作工程は、遠藤の歯の形状を測定した後、宮川医師が歯科医師としての通常勤務の合間を縫って10から15時間かけてマウスピース1個を製作。その後、遠藤が2回テスト試用して問題がなければ完成となる。宮川医師は、これまで計15から20個のマウスピースを遠藤のために作っていて、シュツットガルトでの試合の時のために赤色、日本代表の試合用に青色のマウスピースを用意している。製作費については、「一つずつの値段を出すのは難しいですが、これまでの合計は、高級車が軽く買えるぐらいの金額にはなっていると思います」とインタビューの中で明かしている。
遠藤の活躍によって、今後は日本でもマウスピースを着用するサッカー選手が増えていくかもしれない。
(FOOTBALL ZONE編集部)