英国発“移籍ゴシップ”との付き合い方 海を越え真実のように報じられた驚愕の実体験
実際に移籍の動きが出たら北ロンドンで抗議運動が起こる?
そしてその後に続く文章は、一時は1億7500万ポンド(約274億4750万円)と報じられたケインの移籍金が、新型コロナウイルスのパンデミックで無観客試合が続いた大減収の影響で、約半分の9000万ポンド(それでも日本円にして141億3000万円という途方もない大金だが)に落ち込む見込みだとなっている。
さらにはダニエル・レビィ会長が「売るにしてもプレミアのライバルは避けるはず」というくだりもあり、ここですでにユナイテッド移籍が怪しくなってしまうのだ。
もちろん、それでも2年前のCL決勝進出を頂点とした後、マウリシオ・ポチェッティーノ監督解任、モウリーニョ監督解任と続き、しかも来季のCL出場が絶望となると、トッテナム・サポーターにとってケイン残留は非常に気にかかるところであり、そこを突いて記事のPV(ページビュー)を伸ばすという意図は、まあ見え見えだ。
しかし実際にそんな動きが出たら、2005年にチェルシー移籍が決まりかけたスティーブン・ジェラードが、24時間でリバプール残留に翻ったサポーターの抗議運動が、北ロンドンで起こるのは必至だろうとも夢想した。
また「ザ・サン」のライバルである大衆紙「デイリー・ミラー」は、リバプールの「モハメド・サラー、パリ・サンジェルマン移籍」を報じているが、こちらは「キリアン・ムバッペ移籍で」という“ところてん式移籍記事”の典型で、全く説得力なし。こちらは今日のランチタイムでリバプール・ファンをやきもきさせる話題になることはなさそうな内容だ。
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(森 昌利 / Masatoshi Mori)
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。