集めすぎたマン・Uのひずみ 香川にも待っていたかもしれないベルギーの新星が直面する憂鬱な日々

噴出するパニック補強の悪影響

 マンチェスター・ユナイテッドのルイス・ファン・ハール監督は、今夏の大型補強のあおりで、イングランド代表FWウェイン・ルーニー主将を除いて、先発メンバーを固定しない方針を明らかにした。英夕刊紙「マンチェスター・イブニング・スタンダード」が報じている。
 指揮官は、こう言い放った。
「レギュラーで固定されている選手はいない。ただ、キャプテンに関してはより特権的な立場であるが、他の選手に特権はない。すべての選手は、私のチームマネジメントからも、それを理解しているはずだ」
 今夏の移籍市場で約1億5000万ポンドの移籍金を投じ、大物選手を買いあさった影響で、スペイン代表MFマタという実力者ですらベンチスタートの危機に直面している。
「ファルカオがファン・ペルシーを邪魔したり、その逆が起こるとは考えていない。ファルカオは素晴らしいストライカーだが、彼の記者会見でも話したが、ファン・ペルシーのことも好きなんだ。彼は素晴らしいストライカーで、ルーニーもヤヌザイもウィルソンもいる。この5人から2人のストライカーを選ばなければいけない」
 ベルギー代表MFアドナン・ヤヌザイは、トップチームで出場機会を手にするのが難しく、15日にU-21の公式戦に出場した。ベルギーの新星は、その試合でハットトリックを決めたが、指揮官はそれでも不満のようだ。
「彼は素晴らしい選手と競合しないければいけない。それが理由だ。15人の選手をピッチに送り出すことはできない。11人しか無理なんだ。このシステムでは優秀なストライカーと競合しなければいけない。4-3-3ならより出場機会があるが、それもシステム次第。私がシステムを変えれば、彼はプレーできる」
 指揮官は今季、開幕から3-4-1-2システムに固執し続けている。それが開幕時のチームのタレントの個性に合致したシステムだったのか。そこは疑問が残るところだ。中盤の戦力が豊富だった上に、アトレチコ・ビルバオからアンデル・エレーラ、レアル・マドリードから英国史上最高額の移籍金でアンヘル・ディマリアを新たに獲得した。ドルトムントに香川真司を放出し、余剰戦力の整理と約1億5000万ポンドを費やした大補強を展開したが、戦力バランスは、いまだゆがんだままだ。
 香川は、名将ユルゲン・クロップ監督の下で伸び伸びとプレーしているが、オランダ人指揮官の下に残留した場合は、ヤヌザイのような冷遇が待ち構えていたのかもしれない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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